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特別インタビュー

英語は日本で学べる! ~留学に必要な新しい英語習得の形とは~

 安河内哲也

1967年福岡県北九州市生まれ、遠賀郡岡垣町育ち。東進ハイスクール・東進ビジネスクールのネットワーク、各種教育関連機関での講演活動を通じて実用英語教育の普及活動をしている。特に各種4技能試験の普及活動にも熱心に取り組んでいる。文部科学省の審議会において委員を務め、大学入試への4技能試験導入に向けて積極的に活動中。

大学時代は英語科に通っていた安河内さん。留学経験者のイメージが強いですが、留学には行っていないそうです。英語を習得した場所は、ずばり日本。大学2年次から音楽もカラオケもテレビも全部英語に変えて、英語に囲まれた環境で生活していました。そのおかげもあって、大学3年次にTOEICのスコアは900点に達し、英検1級も習得したそうです。そんな安河内さんが考える『留学』とは一体どのようなものなのでしょうか。早速インタビューをご覧ください。

英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ

まず初めに、『留学を考えている大学生は留学前に必ずこれをしておくべき!』ということがあったら教えていただきたいです。

「大切なのは、留学に行く前に必ず英語で苦労しない程度の最低限の英語力は身につけましょう。」

なるほど、英語は日本で身につけてから留学に臨むということですね。

「まずそもそも論なんですけど、留学って英語を勉強するために行くわけじゃなくて、英語で何かを勉強しに行くんですよね。例えば経済専攻の学生だったら経済を勉強するだろうし、社会福祉専攻の学生だったら社会福祉を勉強に行く。だけど、一年間行って英語の勉強しか出来ないケースがある。それは何故かというと、日本で英語を勉強していないから向こうに行っても結局専攻の学問まで手が回らないんですよね。結局それだとただの語学留学であって本来の留学とは言えないから、英語は日本で身につけてから行くべきだと思います。」

英語の勉強だけをして帰ってくる学生は確かに多いですよね。今はインターネットやアプリを使えば英語の勉強は出来るし、日本での英語の習得はそこまで難しくないような気がします。

「日本は英語の教材が一番充実している国なんですよ。だから、やる気さえあればアメリカで学ぶよりも日本で勉強した方が効率よく勉強できる。CDも安いし教材もたくさん出ているので、それらをうまく利用して英語はできるだけ日本で覚えてから行きましょう。」

留学中に英語で苦労はしたくないですもんね…。限りある時間をいかに自分の専門分野に割けるが大切ですね。

「向こうに行ってももちろん英語の勉強は大切。だけどメインは英語で専門分野の勉強をすることであって、英語を学ぶことが留学の目的になってしまうと留学の価値が半減してしまうのね。留学にはもっと価値があるから、知っている英語ではなく使える英語を増やして、使いながらマスターするべきだと思います。」

“勉強”ではなく“練習”しよう

『知っている単語ではなく使える単語を増やすべき』、とおっしゃっていましたが、使える単語はどうすれば身につきますか?

「まずはインプットする英語を選ぶことが大切。英語を話すってどういうことなのかと言うと、例文を暗唱→インプット→アウトプットっていう作業なんです。大学受験の時って、いつ使うか分からないような単語を覚えさせられましたよね。構文自体も全く使わないし、文の内容も全く使えないようなもの。いつ使うかどうかわからないものを覚えるのではなくて、例えば、I’d like to order orange juiceとか、どこかで使うだろうっていうものから覚えましょう。映画のセリフや名言でも、これ言えるとかっこいいね、とかどこかで使えそう、と思うものを覚えることが重要です。」

確かに受験生の時は単語帳に出てくる英語をひたすら覚えているだけだったような気がします。インプットをする英単語がカギなんですね。

「あと、英語は勉強するものじゃなくて練習するものだから、毎日必ず10分間くらい練習しましょう。語学に関してはやはり少しずつ努力を積み重ねることが大切です。事前に日本でシミュレーションをしてどう話しかけるか練習することによって、留学先でどんどん友達を作れるし、パーティでもどんどん話しかけることが出来る。日本でインプットをして留学先でアウトプットをするのが理想ですね。留学先でインプットをしていたらあっという間に留学が終わってしまいます。」

日本で学んだことを留学先で出すだけ、ということですね。何かおすすめの勉強法はありますか?

「まず、スマホを英語モードにしましょう。そして、聞く曲や見るテレビも全部英語にしましょう。」

意外でした、すぐに出来ることばかりですね。

「英語を勉強するっていうとそういう日常生活の様々なことを放ったらかしにして図書館で頑張る人がいるんだけど、そうではないんですよね。パソコンやスマホ、それからSNSの繋がりとか全てを含めて、日本にいるときから英語モードに変えておくことが重要。そうすれば向こうに行ってテレビをつけても普段と同じだし、留学先の環境にスッと入っていける。向こうに行って環境に適応するのってすごく時間がかかるじゃない。だから、日本にいる時から英語環境に慣れておきましょう。そこに時間をかけていたらもったいないです。」

何よりも大切なのは“スピーキング力”

今まで高校や大学でやってきた勉強の中では、このような練習をする機会ってあまりなかったような気がします。TOEICやセンター試験はリーディングとリスニングだけでしたし…これについてはどう思いますか。

「TOEFL iBTとかIELTSとかの四技能試験に向かってしっかり勉強しておくことが重要です。みなさんセンター試験でリーディングとリスニングを一生懸命勉強したと思うんですけど、大学に入ってきちんと英語が話せる人は少ないですよね。」

確かにそうだと思います…。

「つまり、二技能の試験やっても英語はできるようにならないから、四技能の試験をやりなさいよということです。英語が話せるようになりたいのにマークシート塗る練習していたって、できるようになるはずないよ。それだったら、スピーキングテストを目標にした方が留学に行ってから苦労しない英語力がつく。例えばスピーキングテストだったら60秒でプレゼンしなさいとか、質問に矢継ぎ早に答えなさいとか、そういう勉強の方が使える英語に繋がります。そもそも、向こうに行っていきなり学部で勉強したい場合には四技能試験で点数をとらないと多分できないと思うんですよね。今、世界では四技能試験以外はテストとみなされていないから。」

確かに今はTOEFL iBTじゃないと出願できないところも多いですよね。スピーキングの必要性が増してきているということですね。

「なんでスピーキングをやると良いかっていうと、スピーキングをやると自動的に他の技能も勉強することになるからなんですよね。スピーキングをやるときはだいたいスクリプトを書くでしょ。発音を勉強する時にはリスニングもやるし、ネタ探しする時にはリーディングも読む。スピーキングをやっておけば4技能が全て付いてくるんです。先ほども言ったように、このリーディングとリスニング2つのテストで満点を取っても英語が話せない人がたくさんいる。だけどスピーキングテストさえやれば、“テストの点が良くても英語が話せない”って問題は解決すると思うんです。」

海外の大学ってディスカッションが多いイメージがあります。スピーキングが出来ないと苦労しそうですね…。

「海外の大学は本当に面白いんだけど、でたらめなことを喋ってもいいし、みんなが話していることと全然違うことを話し始めてもいいの。とにかく話すことが高く評価される。何か話せば、面白い、ユニークな意見だったねって。逆に何も発言しなかったら参加しなかったのと同じなんです。日本では人の話を聞いて、メモを取って、空気を読んで相手の意見に反論しない、っていうのが理想とされていますが、向こうの場合は違います。人と違うことを言った人が偉いんですよ。」

日本とは全然違いますね。ディスカッションのコツなどはありますか?

「基本的なフォーマットを覚えることが重要です。Assertion(主張)、Reason・Evidence・Example(根拠)、最後にConclusion(結論)を持ってくるという一連の喋り方のフォーマットがあるんですけど、大学生は特にこれをやっておかないとダメだと思います。例えばI agree/disagree with ○○, and I have two reasons for thinking that. っていいながらもう次のセンテンスを考え始めるんです。The first reason I have…と言いながらExampleを考えて、Exampleを言いながら次の理由を考えて…という感じ。このようなフォーマットを自分の中で覚えておくと、向こうの授業でボールがポンポン飛んできても返していくことが出来ると思います。このようなフレーズを覚えることはテクニックなので全然悪いことではなくて、向こうの授業に参加する時にそのまま使えるんです。」

留学がうまくいくかどうかは行く前から決まっている

安河内さんは、学生は学生のうちに海外に行くべきだと思いますか?

「絶対に行くべきです。異文化の中にいると毎日が刺激や自己開発の連続なので、海外にいるだけで勉強になると思います。」

なるほど。自分自身、学生時代に留学すれば良かったと思いますか?

「そうですね。留学しなかったことはすごく後悔しています。やっぱり一年は行きたかったかな。一年行っていればもっと人生変わったかなって思います。だけどその当時の交換留学はすごくレベルが高くて、自分たちの時は留学に行けなくて泣いた人もいたほどです。とにかくみんな留学したい!って感じだった。でも逆に言えば、留学しないで英語が出来るようになったからそれも売りかなっていう気にはなりました。悔しいからとにかく勉強しましたね。留学に行けないなら日本でやろう、負けないぞ、みたいな。だから結局、日本にいようがアメリカにいようがやっぱり勉強しないとダメなんですよね。」

環境が変わるだけで劇的に英語が上達するわけではないですもんね。自分が努力しないと。

「そうなんです。留学に行っても出来る人は日本でもよく勉強している人だと思います。日本でTOEFLの点数をしっかり取ってから留学に行って、さらに現地でも努力して英語が出来るようになって帰ってくる人もいれば、なにも勉強しないでとりあえず行けば何とかなるだろうと思って行って、結局何にもならないで帰ってくる人もいる。だから結局、行く前に決まっているんですよね。行けば何とかなるわけではないんです。ちゃんと勉強できる人が行って、勉強を継続しないとダメ。向こうでやる英語の勉強も日本でやる英語の勉強も中身は同じなんだから。留学に行くっていうのは、ただ勉強する場所が変わるだけですよ。東京が熱海に変わるようなもので、東京から熱海に行っても英語が話せるようにはならないのと同じで、東京からLAに行ったって場所が変わるだけで話せるようになるわけないですよ。」

ものすごくグサッとくる言葉です…!留学を充実させるためには事前の準備が本当に大切なんですね。

泳いで泳いで、辿り着く先は…?

最後に、“大学生”が“留学”に行くメリットを教えてください。

「日本の中学や高校は中間・期末試験があって、それなりに勉強もするし、毎日成長がありますよね。社会人になれば毎日仕事があり、上司から色々習ったりしてここでもまたいろんな成長が毎日ある。でも日本の大学の四年間っていうのは自由に学生を泳がせる時期みたいなところがあって、中学校で頑張ったんだから泳ぎなさい、社会人になったら大変なんだから泳ぎなさいっていう時期なんです。求める人は成長するし、求めない人は成長しない、むしろ堕落してしまう。完全に自由に泳がされている分、これほど人生の中で一番差がつく時期はないと思うんですよね。だからこそ、自らが成長を求めて選択していかなければならない。そこで一番確実に成長できる選択は留学です。留学には確実に成長がある、なぜなら総じて海外の大学はちゃんと勉強の仕方を確立させてくれる仕組みがあるからです。」

泳がされている時期か…、確かに日本では“大学生時代は人生の夏休み”なんて言われていますもんね。

「とにかく自由に選択ができるうちに海外に行くべきです。今の時代は良くグローバルと言いますが、実際にそこに足を運ぶことなしにインターネットや本から学ぶっていうのは無理だと思うんですよね。やっぱり現地の人と話したり、実体験を踏んだり、景色を見たり、触ったり飲んだり食べたりしたものが本物の知識として宿ると思うので。これから日本はどんどん海外と繋がっていくと思いますが、向こうの人と話したりとか、向こうの文化を研究したりだとか、そういう文化体験を早いうちからしておくのは将来のキャリアのためにもプラスだと思います。」

日本では体験できないことが留学にはたくさん詰まっているんですね!

「あと今はSNSの時代なので、世界中の同世代の友達と繋がることが出来るって素敵だと思いますよ。僕もアメリカとかオーストラリアとかセブとかいろんな友達がいるんですけど、その国に行くときにFacebookで連絡したら、じゃあご飯食べに行こう、みたいな。じゃあタイムズスクエアのあそこで待ってるから、って。そういう待ち合わせが出来て本当に楽しいです。」

世界中に友達が出来るって本当に素敵ですね。タイムズスクエアで待ち合わせってすごく憧れます!

安河内さん、お忙しい中ありがとうございました。

**このインタビューを見てくれた皆さんへ**
このインタビューを読んで、「早速スピーキングを勉強しよう!」と思った方も多いのではないでしょうか?実は今回、安河内さんが監修していらっしゃるE-CATというスピーキング練習用のサイトを教えてもらいました!スピーキングの上達に役立つコンテンツがたくさん詰まっているので、是非みなさんチェックしてください。
E-CAT➡http://www.ecatexam.com/

インタビュー実施日:2016/04/25
インタビュー実施場所:国際文化会館

【編集後記】

インタビューの待ち合わせ場所は国際文化会館のカフェ。少し早めに着いた私たちは、安河内さんがいらっしゃるのをドキドキしながら待っていました。テレビ番組やCMで大活躍の安河内さんはどんな方なのかなと緊張していたのですが、イメージ通り明るく気さくな方でインタビューも楽しく進み、2時間以上お話させていただきました。安河内さん、本当にありがとうございます。
さて、記事の内容に関してですが「英語は日本でも学べる」という題名に少し驚いた方もいたのではないでしょうか。私も安河内さんとお話をする前は、英語を学ぶなら留学に行った方がいいのではないかと思っていました。ですが、インタビューを通して自分がいかに留学に対して甘い考えを持っていたかを痛感しました。「留学に行ったら絶対に英語が出来るようになる!」「勝手に英語が上達する!」なんていうのは幻想で、それを達成できるのはきちんと努力を重ねた人だけです。当たり前のことだけど、意外と忘れがちですよね。
私も現在留学中なのですが、「英語の勉強が足りなかった…。」と後悔することが多々あります。勉強してきたつもりでもやはり完璧には程遠い…。だから、このインタビューを読んでくれた人の中でこれから留学に行く人は、ぜひ日本で英語を固めてから飛び立ってほしいなと強く思います。留学中に英語で手こずっている時間って本当にもったいないです!留学の充実度を左右する大事な要因だと思うので、後悔のないようにしっかり準備してから留学に臨みましょう。
文責:明治大学3年 白石彩

明治大学3年白石彩
明治大学2年萩原遥
東洋大学3年竹内清香