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特別インタビュー

できることにほんの少しの“新しい”を ~英語のプロが語る、留学と英語学習~

ジーエルアカデミア株式会社代表取締役 塚本 亮

1984年1月8日生まれ。同志社大学経済学部を卒業後、ケンブリッジ大学大学院修士課程修了。京都にて英会話スクール、ジーエルアカデミアを設立。著書に『英語、これでダメならやめちゃいな。』『努力が勝手に続いてしまう。』『偏差値30でもケンブリッジ卒の人生を変える勉強』などがある。

【モチベーション継続の秘訣は、ある程度できるものに新鮮さを足すこと!】

 16歳の頃は努力なんて大嫌い、容姿は金髪、しまいには警察にお世話になる…と現在の様子からは全く想像がつかない生活を送っていた塚本さんが、18歳になって突然やる気をだしたきっかけとはいったい何であったのだろうか。また、やる気を出しそのモチベーションをどのようにして維持していたのであろうか。

 16歳の時に警察のお世話になり、二週間の停学・自宅謹慎の処分になった塚本さんは、“家にいると暇”という理由でたまたま本屋さんに行ったときに、“自分を変えたい、このままではいけない”思ったという。『書店に行ったときパッといろんな本が目に入ってきて。その中で一冊手にとったのが、松下幸之助さんの本だったんですね。パナソニックの創業者、松下幸之助さんの本で、一度その時に、読んでみるとおもしろいのではないかと思って、読んでみることにしました。』この本を読み、新しい生き方をはじめて知ったと語る塚本さんは、松下氏の“私の成功の理由(①体が弱かった、②学校に行けなかった、③お金がなかった)”に衝撃を受ける。『勉強ができないからできない、というような言い訳にしそうなものを、逆にだからこそ成功できたと言っていた。これまでは勉強ができないからもういいや、悪いことしよう、とか、「できないから」で全て結びつけていた。それって発想自体で変わるんじゃないかと思って。だからその時点で勉強ができないからこそできることがあるんじゃないの、という風に初めて思って。こういう生き方がある!ということに気づいて…。それだったら自分もちょっとだけ変えることができるのではないかと思ったんです。』発想一つで自分を変えることができる。塚本さんは自分を変えよう、と決意した。

 しかし何を変えればいいのか分からなかった塚本さんは、誰にでも変化が分かるような客観的判断ができることは何かを考える。そこで“勉強ができない人”というレッテルを貼られていたことから成績を上げて数字で努力をするのが一番分かりやすいのではないか?と思いついたそうだ。『成績が変わったら、点数が伸びたら、必然的に誰でも自分をなんか変わったんじゃないのって思ってくれるよねって。多分それぐらいしか周りに客観的に伝える方法ってないんじゃないのって思って。これから俺悪いことしないで生きて行くからって言ったところでそれは目に見えるものではないので、自分が本気だと周りを説得させられる材料はそれぐらいだなと思った。』塚本さんが在籍していた高校の進学率は約50%であったため、大学の進学実績であまり進学していない学校に進学すると、自分の変化を本気で伝えられると初めて思ったそうだ。

 大学進学を目指し勉強を始めた塚本さんは学校の勉強だけではダメだと悟り塾に通い始める。授業はレベル別に用意されていたため最初は中学校レベルの授業を受けていたが、できないものがたくさんあったという。『人って分からないことをさせられると嫌なんですよ。分からないことが多すぎると覚えることが多すぎるし、間違えたくないって誰でも思う。でも新しいことって間違えてしまうんですよね。だからある程度できることに新鮮なことをプラスアルファしていかないとなかなか続かないなって初めて気づいたんです。』ある程度できることに新鮮さを足す、これが塚本さん流のモチベーションを保ち勉強を続ける方法である。『いつも言っているのが大体7~8割ぐらい分かるものをやること。分からないものが7~8割占めていると、挫折したときに、もう続けたくない、やりたくないという気持ちになるので…。あとの2割は少しハードルになるくらいのものを選んだ方がいい。そうすると乗り越えやすく、また一冊終えると自信にもなるし、自信になると次もチャレンジしようとなるので。それの連続かなと。いきなり2倍の自分を目指すのではなくて、最初1.2倍の自分を目指すイメージです。それが続けられたコツの一つだと思います。』

【英語よりも、まずは日本語でできているか?】

 留学するにはもちろん英語が必要になってくるが、留学に行くために必要な英語の勉強(TOEFLやIELTSなどの点数をしっかり取ること)、留学に行くことが決まってから出発するまでの英語の勉強、出発してから現地での勉強、の3種類があると私は考えている。そこで、塚本さんの現在のお仕事は英語関係であるため、そのそれぞれの時期でどういう勉強をするべきかを聞いてみた。

①留学に行くために必要な英語の勉強

 英語の4技能(Listening、Speaking、Reading、Writing)のバランスが重要だと塚本さんは言う。大学で授業をしながら、中でもSpeakingとWritingは乗り超えなきゃいけないハードルが高いと思っている人が多いと感じるそうだ。英語の勉強をするとき、SpeakingとWriting に苦手意識を持ってしまいListeningやReadingに偏ってしまう学生はたくさんいるのではないだろうか。その理由は自分のアイディアを出しまとめることができていないからだと塚本さんは指摘する。『自分の意見をまとめて人に話すことが、日本語でも難しいと感じている人が多いので。でも慣れていかないと上手くならないので、日本語ベースで日頃から自分の意見や考えをまとめて、ある程度論理的にアウトプットする癖をつけていかないと。』日本語でできないものは当然英語でもできない、確かにそうである。『日本は君どう思う?って聞かれてもさっきの人と同じですとか、意見はあるけどわかりませんっていうのが多いじゃないですか。日本語でアイディアが出ないのに英語で出せって言われても出るわけがないので。だから今大学で授業しながら1番危惧しているのはそこですね。日本語でとにかくアウトプットする。日常会話でもなんでも同じだと思うんですけれども、質問されたら一言で返すんじゃなくて、プラスアルファをちょっとつけて、話を広げるって意識を持っていかないと。』日本語では共通認識が多く言葉の数が少なくてもニュアンスで伝わることが多々あるが、英語はそうはいかず“10言わないと絶対分かってくれない”のである。英語を勉強するよりもまず、間違ってでもとりあえず意見を出す姿勢が大事なのだ。

 また塚本さん単語の覚え方について、単語集で勉強しても使えるようにはならないと指摘した。『たとえば中学校の時にgo to bedって出てきて、寝るって意味なんですよね。これって3語でやっと寝るっていう1語と対応している。英語は塊で日本語にすると一つの意味になるというパターンが圧倒的に多い。だから、単語でgo、to、bedをばらばらに覚えていると、go to bedって発想が出てこない。これはコロケーションと言われるんですけど、連語、つまりどの単語とどの単語が組み合わせになって一つの意味を作るか。単語の組み合わせの意識がないので、使えるようにならないんです。』このようにしてボキャブラリーを増やすためにはネイティブの英語に触れることが一番大事なのである。リスニングの教材であればスクリプトを読み、表現方法を自分のものにしていく。『言葉には理屈がないものもたくさん存在するので、理屈や意味で日本語で覚えようとすると絶対ずれる。こういう時はこう言うんだなっていうのを塊で抜き出して自分の中で使えるようにしていく作業をスクリプト読んだりニュースの字幕を読んだりしながら自分で抜き出したりしないと、なかなかSpeakingとWritingは伸びないと思います。』

②留学に行くことが決まってから出発するまでの英語の勉強

 勉強する姿勢に基本的な変化はないが、より長く書き、言えるようにすることが必要だ。学校のテキストになっているような英語よりも時事的なもの(英字新聞やCNNなど)を読む、聞くことで現代の言葉を知り使うことができる。

 留学の参加資格を得るための試験だと何点以上など具体的な目標を設定できるが、この時期はなにを達成するかという目指す場所が明確にできない人もいるだろう。塚本さんは日本に留学してくる留学生との交流を勧めた。『試験まではある種自分との会話になるわけじゃないですか。それを超えた後というのは外と向き合うというか外に身を投じることが大切で、そこでどんどん自分を出していく、足りないものを探していくのがとても大事になってくると思います。だから行くまでに外国人の友達3人なり10人なり50人作るとか、そのような数値目標を作ってみるといい。』具体的な目標を立てられず何をするべきか分からないときこそ、分かりやすく、またハードルが高くない数値の目標を作ることが大切だ。

③出発してから現地での勉強

 『現地での英語の勉強法は、基本的に授業の中で出てくるものをいかに何度自分の中に刷り込むかっていうことが大切になってきて、その中で授業で肝になってくる語句をうまく抜き取っていかなければいけない必要がありますね。あと会話ベースになると今度は振り返りとかないので間違ってもいいからどんどん発言するっていう力は意識づけた方がいいですね。あとは、友達をたくさん作るということですかね。助けてくれる友達を作る。』ここでも具体的にいつまでに何人友達を作るかという数値の目標を作ったり工夫をする。まずは多くの友達を作って幅広く交流してみてから、そのなかで良い友達を作るのがコツだという。留学先で周りが日本人ばかり、あるいはアジア圏の留学生ばかり、というのはありがちなシチュエーションではないだろうか。なるべく日本人と一緒に行動するのは控え、留学生の英語を学ぶのではなく、英語を使うネイティブスピーカーと交流する機会を積極的に持つべきだと塚本さんは言う。『僕ははじめは語学学校に通っていて、その時は何も苦ではなかったんです。話せるし聞けるしもう完璧だよって。それで大学院に実際に行ったらその瞬間に何もできないってことを痛感しちゃったんですよね。周りを見たら8割くらいがネイティブで。これまで語学学校にいたんで、英語を学びに来た人たちがいっぱいいたんですよ。だからついていけたけど、大学院ではついていけない。完全に挫折してしまって…。でもネイティブとずっと一緒にいると少しずつ耳も慣れてきて話せるようになったんですけど、それ以外にもイギリスやアイルランドとかに多いパブは、名前の響きからすると怖いイメージがあるけど実際とても家庭的で居心地よかったし、そこで今度は現地の人から話しかけてもらえてりして。そこで仲良くなった人にドライブ連れて行ってもらったりとかたくさんしたし…。現地の生活を垣間見ないと学べないことってたくさんあると思いました。』と自身の体験を語ってくれた。

【“大人になる瞬間”に可能性を広げよう!】

 最後に大学生が留学するメリットについて尋ねてみた。

塚本さんは“大学生は吸収する力が非常に強い”と話す。『大人になってからと比べるとまだまだ吸収力が高いから、順応性がはるかに高い。あと一番周りからの支援が得られる時期ですから、環境のメリットを一番受けられますよね。』塚本さんが学生だった頃に比べ、近年の大学では留学プログラムが豊富であるなど留学する環境が整っているという。

 また大学生は“大人になる瞬間”、人間として自立をする時期である。『その時期に挑戦することで、若い頃より自分の過去にそれなりの経験があるしそれを元に人に伝える、シェアすることにも繋がるので、人とのつながりが一番広がりやすいというのもこの時期だと思います。』ある程度の知識や経験を持っているためそれを生かすとともに、新しいものをどんどん吸収することで可能性をいくらでも広げることができるのが大学時代なのである。

インタビュー実施日:2015/12/03

【編集後記】

回インタビューをして一番強く印象に残った内容は、“ある程度できることに新鮮なことをプラスアルファしていくことでモチベーションの継続ができる”ことであった。塚本さんは英語などの勉強をするために参考書などを買うとき、レベルの高いものではなく自分の現段階のレベルより少しだけ上のものを買い、できることを確認し自信をつけ、やる気を継続させたと話していた。私はまさに自分のレベルより高い参考書を買って、そのときだけ満足し数日は取り組むがすぐに自分の実力のなさに失望しやる気をなくしてしまうことがたびたびあったため、この方法には感銘を受けた。私も来年の交換留学に向けて英語を勉強するため、これからはこの塚本さんの方法を取り入れ、モチベーションを保てるよう努力しようと思う。
 人間は変わろうと思ってもそう簡単には変われない、と私は思っている。では自分を変えるためにはどうしたらいいか。私は何かの“きっかけ”が大事だと考える。塚本さんは二週間の停学・自宅謹慎の処分になったことがきっかけで、たまたま本屋で松下幸之助氏の本に出会い、自分を変えようと決意した。つまり停学・自宅謹慎の処分がなかったら現在の塚本さんは存在しないかもしれないのである。ここから学べることは、自分を変えるチャンスは日常生活のいつでもどこでも存在している、ということだ。自分を変えたいと思っているがなかなか変わることができない学生は私を含めたくさんいるだろう。しかし思ってもみないところに“きっかけ”は存在し、変わるチャンスはもう目の前にあるのかもしれない。そのように我々学生の背中を強く押してくれる力強いお話であった。 (竹内 清香)

文責     東洋大学2年 竹内 清香
インタビュー 東洋大学2年 竹内 清香
       東洋大学2年 鮎川 想