インタビュー
イギリスで社会における詩の在り方を追求し、それを学生へ発信する教育者
佐藤 泰人氏
2014年11月22日 1,377ページビュー 4年以上 アイルランド 大学院(修士)イギリスの北アイルランドへ4年半留学されてその経験を活かして授業を行っている東洋大学文学部英米文学科の佐藤泰人先生にお話しをお伺いしました。
(学生)? ?留学はいつどこへどのくらいの期間行かれたのですか?
30歳になるときに、イギリス・北アイルランドの、ベルファーストという町にあるクィーンズ大学大学院に4年半留学しました。私は、大学の卒業論文ではウェールズの詩人ディラン・トマス(Dylan Thomas)をやったのですが、トマスの詩を翻訳されたある先生の主催する詩の研究会に出させてもらい、そこでアイルランド詩と出会ったのです。それが北アイルランドへ惹き付けられた始まりでした。
(学生) ? ?なぜ30歳の時に行ったのですか?
仕事をしてお金を貯めるのに時間がかかりましたね。でも詩を読めば読むほど、これはやっぱり現地へ行かないと、自分で現場を確かめないと、という気持ちが強くなっていました。留学については、大学2年生の夏休みに語学セミナーでモンタナに行って以来ずっとしたいと思っていましたから、まさに満を持して、という感じでした。
(学生)? ?留学時にどのように詩と関わっていたのですか?
もちろん授業や研究で詩と取り組んでいたのですが、ほかに、大学の講堂で行われる詩の朗読会からカフェでのパフォーマンス詩まで、さまざまなポエトリーリーディングを楽しみました。本屋でワイン片手に楽しむ朗読会はそのあと詩人たちと色々話ができたりしてアットホームな雰囲気でしたね。コミュニティーセンターでの詩の創作クラスに出た事もあります。そうした経験を通じて詩を非常に身近に感じました。北アイルランドは小さな社会で、詩と社会が密接に関わっています。政治的な問題が詩と切り離せないことも肌身で感じました。
(学生)? ?それは、先生の授業でも活きていると思います。留学後のお話を教えてください。
帰国後はいろいろな大学で非常勤の英語講師として働きました。そのあと東洋大学英米文学科で常勤の講師となり、詩を教える事ができるようになりました。授業を通して学生さんたちに詩のおもしろさや、社会における身近な存在としての詩を伝えていきたいです。仕事とは別に、趣味で、音楽と結びつけたポエトリーリーディングもしています。ここのところ忙しくてなかなかできませんが(苦笑)。
インタビュー実施日:2014/11/11
インタビューアーからのコメント
●印象に残った世界とつながるキーワード
自分で確かめたい
●お話を聞いて、感じたこと、学んだこと。今の自分と繋げて、思うこと。
英米文学科であることから、英語に関心を持ったことでただ調べるだけではなく、実際に自分の目で、肌で感じたい、という強い意志の下で留学したという佐藤先生のお話を聞き、人として、また先輩でありながら英語に興味を持つ同士としてとても感心し、感動致しました。先生からは、一つのことに対する熱い追求心というものを短いインタビューの中で学ばせて頂きました。背負う覚悟というものもまた同時に学ばせて頂きました。強い意志、覚悟というものは生きていく上で誰もが背負うものであると思いますので、今回のインタビューのような貴重な経験は私に大きな宝物であると思いました。
インタビューアーからのコメント
●印象に残った世界とつながるキーワード
満を持して留学をした
●お話を聞いて、感じたこと、学んだこと。今の自分と繋げて、思うこと。
「お金がないから」「仕事をしているから」という考えで留学を諦めてしまう人はたくさんいると思います。それでも「留学に行きたい」という強い気持ちを持って仕事をしてからお金を貯めて満を持してイギリスへ4年半も留学した佐藤先生の行動力はすごいなと感じました。同じ大学、学部、学科を卒業されている先生の話は私にとってとても刺激的でした。わたしもいろいろな言い訳をみつけて逃げるのではなく目標のために努力していける人間になりたいと思いました。
インタビューアー:関 玲央奈