留学のすすめ.jp

Invitation to Study Abroad

Disseminating the Impact of Study Abroad
Inter-generational Knowledge Transfer

インタビュー

インタビューから考えた日本留学の在り方

阿拉坦宝力格(アルタンボリグ)氏

2021年8月1日  268ページビュー
6年以上   大学   日本  

【留学体験の概要】

留学した時期・期間: 2002年9月~2012年8月

留学先(国、学校名): 日本 大正大学→明星大学→東洋大学

学習内容: 日本語別科 基礎知識・文化

 

【インタビュー相手にとっての留学意義】

「なぜ留学しようと思ったのですか?留学にいたる経緯は?」

2000年に大学を卒業しましたが、友達は日本に留学し、私は内モンゴルで就職しました。そんな中、友達から日本風景の写真が送られ、それを見たら日本留学へと興味が湧いてきました。それが日本留学を目指した理由です。

 

「留学前に日本をどう思っていましたか?」

元々日本を自然豊かで、技術が進んだ国だと思っていました。それが友達からの誘いと重なったわけです。

 

「留学準備で苦労したこと、工夫したことは何ですか?」

学費の問題です。牧畜業をしていた親が工面してくれました。しかし、周りの人に比べたら大した心配ではなかったです。なぜなら、日本には一緒に住む友達がおり、困ったとき相談もできるからです。

 

「実際に日本に行ったら、どうでしたか?」

飛行機から降りて、税関で警備員に質問されました。しかし、その時は日本語を聞き取れなくて英語で対応しました。後は迎えに来たくれた友達のお陰で問題ありませんでしたが、日本語能力不足に不安を感じました。

それから初めて電車に乗りました。電車から見える景色は美しく感じましたが、一つ驚いた点があります。それは電信柱が古く、今にも倒れそうに見えたからです。憧れていた日本は全て新しい技術を持っているのだと思っていました。

 

「留学中に苦労したこと、工夫したことは何ですか?」

日本語が分からなくて苦労した点ですね。クラス分けでは0点でありました。その結果は大学生活だけでなく、日常生活にも現れました。友達の紹介を通じて飲食店でアルバイトをしていましたが、お客さんとの会話がまったくできないため怒られる時がたくさんありました。しかし、その際にも何故怒られているのか見当も付かなかったのです。そのような生活が続いて日本留学が嫌になることもありました。

 

「その困難をどう乗り越えましたか?」

まず日本語の勉強を真面目にすると決めました。まず、大学の授業で全ての内容を理解しようと努力しました。夜、家に帰ったら復習をして、分からないことは、直ぐ誰かに質問しました。次に、ラジオを購入しました。勉強以外の時間はずっとラジオ番組を聞いていました。最初は全然わからなくても、その度に友達から借りた電子辞書で調べたりしていました。それから留学中の意識を変化させました。大学で留学生と距離を置き、日本人に話しかけようとしたり、アルバイトは友達からの紹介ではなく自分で探すようにしたりしました。これらの努力を先生は高く評価し、その結果奨学金をもらうことになりました。その時が留学生活の中で一番嬉しかったです。

 

「留学中にカルチャーショックを受けた経験がありますか?」

モンゴルと日本の食文化が違う点ですね。モンゴルのような内陸地方では生ものを食べません。一方で日本はお刺身やお寿司等があり、それを食べることに衝撃を受けました。

 

「留学で得たもの(メリットなど)は何だと思いますか?」

仕事をする姿勢、考え方が変わりました。教育に関する教員の在り方は全部日本留学の影響を受けたと言えます。

 

「帰国後に留学生活に馴染んで不便な点はありましたか」

時々、内モンゴルの医療サービスは劣れていると感じます。この点において、日本はモンゴルより優れていると思います。後、人間関係において、内モンゴルは日本より、すこし複雑かなと思います。

 

「留学が帰国後のキャリアや人生にどう影響しましたか?」

私の人生は全て「留学」から貰ったと言えます。なぜなら、東洋大学で私は大学院生活を送り、東洋大学に大変お世話になったからです。そのため、東洋大学にまた教員として戻り、恩返しがしたかったです。今の家庭を築けたのも留学のお陰でありますし、一生忘れられません。今後も日本で留学生を支援しながら生きていきたいです。

 

「今後留学を目指す学生へアドバイスをください」

  1.  心がけが重要です。皆さんが留学に行くのはその国が好きだからだと思います。まず、その国に関して興味を持ち、それを元に文化・社会現象がなぜこうなったのか疑問を持ってください。それが自ずと自分の情報となり、友達が出来るようになるはずです。
  2.  人間関係に関しては壁を作ってはいけないと思います。自分から近づくのが人間関係の始まりです。
  3.  色ついた眼鏡で文化をみてはいけません。簡単に言うと、他人からの言葉で文化を判断しないことです。客観的に物事を判断し、直接触れてみることが文化を体験する基礎であると考えます。

インタビュー実施日:2020/12/12

インタビューアーからのコメント

「印象に残った言葉」
 筆者が思う一番印象に乗った言葉は「色ついた眼鏡で文化を見てはいけない」ことだ。例えば、筆者はりんご飴の味を憧れていた。なぜなら、アニメや映画などで主人公がそれを美味しく食べていたからだ。しかし、実際食べてみた所、あまり美味しくなく歯にベタベタ付く感じばかりだった。この点を今留学中に感じたため彼の言葉は胸に刺さったのである。


「お話を聞いて、感じたこと、学んだこと、今後行いたいこと」
 新型コロナウイルスの中で私の留学意義は薄れて来た。なぜなら、やっと日本に来たのに旅行が行けず、大学に行けば人もいない。そのような自分に嫌気がさしていた。しかし、彼とのインタビューから日本の物事を見る観点も変わるようになった。そのような機会を与えてくれた本課題に感謝している。今後もアルタン先生と交流していくきっかけとなった。今後は新型コロナウイルス収束後日本の様々な場所を旅行しながら勉強してみたいと考えている。更に、日本を超えて他国への留学を準備したい。そのためには、本講義終了後にも東洋大学国際部の行事を積極的に参加すべきだと思う。これらを踏まえて将来留学を人生の分岐点としたい。

インタビューアー:JO KYEONGHUI(国際観光学部 国際観光学科 1学年)
留学は自分の人生観、キャリア観が大きく変わる貴重な経験です。
京都大学 大学院総合生存学館(思修館)准教授
関山 健 氏
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