留学のすすめ.jp

Invitation to Study Abroad

Disseminating the Impact of Study Abroad
Inter-generational Knowledge Transfer

インタビュー

真の支援とは何かを追求すること。

芳村賢士朗氏

2020年10月19日  84ページビュー
2年以上   ラオス  

 

「なぜ留学しようと思ったのですか?留学にいたる経緯は?」

大学1年生のとき、勉学、バイト、遊びに没頭していて、1年生が終わった春休みに、何かを得られた達成感もなく、呆気なく終わったという気持ちになりました。高校時代の部活のように、目標を持って何かに打ち込みたいと思いました。また、大学卒業後のことも考えて、社会に出る前の準備運動として役立つことができれば、何か身になることができれば、という思いもありました。

そこで、ネットサーフィンで見つけたのが、フェアトレードの現地調査・フィールドワークをしている学生団体でした。フェアトレードとは、国際協力という面と、ビジネス的な面があり、視野を広げる意味ではベストだと思い、2015年5月に学生団体に入りました。

 

「留学準備で苦労したこと、工夫したことは何ですか?」

明確な目的を見つけることと、親を説得することです。何も考えずに行ってしまうと、ただの旅行になってしまいます。事前に何のために行くのかを明確にするのは大変でした。

また、途上国に行くので、親からの反対もありました。親を説得するには、やはり「何故行きたいのか」「何故行く必要があるのか」をプレゼンしなければなりませんでした。

自分の気持ちや考えを言葉にするのは本当に難しく、共感を得るのは大変でした。私の大学での専攻は電気工学なので、親からは「何故行くのか」「お前が行く必要はないのではないか」と言われ続けました。私は合計で5回渡航していますが、毎回「何故行くのか」「何が目的か」を考え、言葉にしてプレゼンするのは、本当に大変でした。

 

「留学中に苦労したこと、工夫したことは何ですか?」

一言で言えば文化の違い、特に時間の流れ方の違いが一番精神的に辛かったです。

事前にスケジュールを組んでも、突然ノリで歓迎会(飲み会)が始まったり、知り合いの知り合い(もはや他人)の結婚式パーティー(飲み会)に誘われたり、農園に案内してもらうはずが、いつの間にか観光で滝を見に行っていたり、と思うように目的を果たせないことが多々ありました。ラオス人からしたら長い人生の一部かもしれませんが、僕らからしたら、どうにか捻出した貴重な渡航期間です。どうにか目的を果たすために焦る僕らと、のんびりしつつウェルカムムードを出すラオス人との間で、気持ち的なギャップはありました。

でも、とある人に「アジアでは時間はゴムのように伸び縮みするものだと考えられている」と聞き、僕のなかで少し府に落ちた気がしました。僕らは個人で渡航していたので、右に行くも、左に行くも、知らぬ間に道が曲がっていても、どうするかは自分たち次第です。計画的に、でも臨機応変に物事を進めるよう心がけました。

 

「留学前に不安だったことは?また、実際に留学に行ったら、どうでしたか?」

僕らは現地フィールドワークとして、ラオス人と協力してトイレ建設プロジェクトをしました。0→1(ゼロイチ)でプロジェクトを行うのは責任も大きく、特にリーダーとして事前打合せから資金調達をしつつ、渡航前は本当に上手くいくのか不安でいっぱいでした。しかし、現地へ行ってみると予定通り準備が進んでいて、安心して一緒に施工しました。

 

「留学で得たものは何ですか?」

準備期間も含めて、自分のニーズ(気持ち)・所属組織のニーズ・ホスト側のニーズ・社会のニーズ等々を織り交ぜながらロジカルシンキングをリンクさせる力、それをプレゼンする力は、特についたと思います。また、0→1でプロジェクトを立案・遂行する力もついたと実感しています。

 

「留学が帰国後のキャリアや人生にどう影響しましたか?」

僕は今珈琲豆屋を営んでいます。二度目のラオス渡航(2016.3)を終えて、僕はフェアトレードの本質に辿り着いた気がしました。それは、「商売(売り買い)そのものが、一番の協力になっている」ということでした。僕らの団体は、渡航中に現地情報を仕入れ、生産者の家計調査をします。

そして、日本でリアルな情報をもとにフェアトレードの普及を図ります。国内では、少しでも現地のためになることを考え、実践してきました。例えば、オリジナルコーヒー製品の開発・販売、店舗型カフェプロジェクト、セミナーイベントの実施、プレゼン大会出場、テレビ出演などなど。現地のことを知ってほしい、ラオス産のコーヒーを知ってほしい、という思いで活動をしていました。

しかし、それらの活動で、どれだけ農家さんの家計が救われるのか。二度目の渡航を終えたとき、自分らの無力さを痛感しました。上からの表現になってしまいますが、彼らを救うには、フェアトレードの本質である「商売」でチカラになるべきだと考えるようになりました。

そこから、商売の根本を勉強し「如何にして沢山のコーヒー豆を売り捌くか」を軸に残りの学生団体生活を過ごしました。学生団体卒業後(2017.2)は本格的にビジネスとして国際協力をしようと思い「ちばらき珈琲」という看板で珈琲豆屋を始めました。現在創業3年目ですが、コーヒー豆仕入れ量、販売量、売上は、年々上昇しています。

 

「今後留学を目指す学生へアドバイスをください」

目的を見失わないことです。留学することが目的になるのは、良くないと思います。何故留学する必要があるのか。その目的を達成するには、留学しなくても良いのではないか。と、色々考えましょう。

また、できない言い訳を考えないことです。志半ばに断念する人も少なくないと思います。お金がなければ、お金を作る方法、お金をかけない方法を考えましょう。時間がなければ、時間を作る方法、時間をかけない方法を考えましょう。

インタビュー実施日:2019/06/07

インタビューアーからのコメント

「印象に残った言葉」
真の支援とは何かを追求すること
目的を見失わないこと
言い訳をしないこと

「お話を聞いて、感じたこと、学んだこと」
留学をすること自体を目的にしてはいけないと改めて強く感じた。自分のやりたいことや目的・意思を強く持って準備する期間があってこそ留学がはじめて、体験から経験になることを知ったことで、これからの大学生活の大まかな計画を立てることができた。

インタビューアー:塩澤真結(国際学部 国際地域学科 1学年)
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