インタビュー
機会があればそれをつかめ。
久米功一氏
2020年10月19日 455ページビュー 1年以上 アメリカ合衆国 大学院(博士)
「なぜ留学しようと思ったのですか?留学にいたる経緯は?」
大学院生の頃、当時28歳で、留学は考えていませんでしたが、アメリカの博士課程に進む同級生に誘われて留学を決めました。当時、経済学の主流はアメリカでしたので、アメリカへ留学をすることにしました。
「留学準備で苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
その同級生に学校で会うたびに「留学の準備はどう?」と励まされました。TOEFLとGREの問題集で解いてどうにか及第点をとりました。金銭については、社会人の頃の蓄えもありましたが、親に支援していただきました。
「留学中に苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
勉学では、苦手のミクロ経済学が克服できませんでした(この苦労はいまも続いていますが…)。アパートでは、自炊しました。現地は車社会なので移動に苦労しました。
親切な知人が買い出しに連れて行ってくれました。いろいろな方に助けていただいてばかりでした。平日は授業に出て、土日も勉強する生活を送りました。
「留学前に不安だったことは?また、実際に留学に行ったら、どうでしたか?」
初めての海外が留学でした。そもそも何も知りませんでしたし、社会人経験もありましたので、大きな不安はありませんでした。ただし、家探しや治安については、事前にネットで調べた上で、現地人から情報を聞き取りしてまわりました。
「留学で得たものは何ですか?」
ひとつは、物事を相対化する視点が身についたことです。国外からみた日本、現地で暮らすアメリカ、視点の違いを肌で感じました。(当時学んだ)経済学はアメリカの現実を説明するのに適している(が、日本にはなじまない)ことも実感しました。
次に、いつも髪を切ってもらっていた理容師さん(トルコ人の女性)に、「機会があれば(迷わず)それをつかめ」と言われたことです。移民として生計を立ててきた彼女らしい言葉に、常に変化と進化を求めるアメリカ人のメンタリティを学びました。いまでは人生の教訓として大切なものになっています。
また、クラスで唯一の日本人だったので、日本人としてどう振る舞うべきかをしぜんと考えるようになりました。海外ではアグレッシブさを求められる時もありますが、謙虚さや思いやりの気持ちは、どの国の人にも理解してもらえる美徳であることがわかりました。そのためにも、自分らしく、自然体でいることが大切だと気づきました。
「留学が帰国後のキャリアや人生にどう影響しましたか?」
博士号を取得できなかったので、留学自体は失敗だったといわざるを得ません。残念ですが、後悔はありません。失意の中でも「機会があればそれをつかめ」という精神を学べたので、その後もとにかく前に進むことができました。
自分ではコントロールできないことや自分にはない能力に悩むのではなく、自分が持っているものでチャレンジする心の強さが身についたと思います。
「今後留学を目指す学生へアドバイスをください」
アメリカに留学する人には、英語以外の言語の習得をお勧めします。留学中に仲の良かった南米出身の友達、オフィスをシェアしたアフリカ出身の同僚、彼らと過ごすとき、「スペイン語やフランス語を話せたら」と思うことが何度もありました。
アメリカには、さまざまな国から人が集まりますので、その人の人柄はもちろんのこと、その国の人が大切にしている文化や考え方も理解するように努めるとよいと思います。
インタビュー実施日:2019/07/09
インタビューアーからのコメント
「お話を聞いて、感じたこと、学んだこと」
久米先生の留学体験はとてもユニークだと思った。ある程度年を重ねてから留学をするのと18〜22歳で留学するのとでは観る世界も経験も違ってくると思った。どこの国でも誰の前でも自分らしく振舞うということの重要性を再確認した。
また、先生がアメリカ在住時に理容師さんに言われた「機会があればそれをつかめ」という言葉はとても大切な言葉だと思った。
今後自分が色々な経験をすると思うが時に無駄なプライドや見栄が挑戦精神の邪魔になったり、保守的な行動をとったりすることが多々あると思うので、初心・ハングリー精神とともに、この言葉を忘れずにしていきたい。私も今後社会人留学や海外生活をしたいと思っている。今の自分の観る世界と社会人経験後の観る世界の差異をとても楽しみにしている。
インタビューアー:三浦光樹(経済学部 総合政策学科 4学年)