留学のすすめ.jp

Invitation to Study Abroad

Disseminating the Impact of Study Abroad
Inter-generational Knowledge Transfer

インタビュー

経験は実際に行った人、やった人しか得られない

杉村洋紀氏

2018年12月13日  108ページビュー
6カ月以上   アメリカ合衆国   大学  

「なぜ留学しようと思ったのですか?留学にいたる経緯は?」
父の仕事で、1歳から5歳までの幼少期をニューヨークで過ごしました。しかしながら、帰国から中学に上がるまでの約8年間は、ほとんど英語に触れる機会がなかったこともあり、中学校で英語を習い始めた頃は、恥ずかしながらthis、that、itの使い分けにも苦戦する有様でした。ところが、カセットテープには、ニューヨークに住んでいた頃の自分が、流暢にというか、普通に英語で喋っている様子が録音されていて、自分なのに自分でないような、複雑な気持ちになったことを覚えています。その後、進学した大学に留学制度があることをサークルの友人から聞き、少しでも幼少期の英会話力を取り戻す機会にしたいと考えました。そこで両親に相談したところ、そういうことなら応援してくれるということで、約6ヶ月の短い期間ではありましたが、留学させて貰えることになりました。
 
「留学準備で苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
特に思い当たることがありません。
 
「留学中に苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
留学先では、現地の学生と2人で1部屋の寮生活でした。プライベートな時間、例えば就寝前や朝起きた時などは、当然部屋に2人きりでした。そばに頼れる人がいる訳でもなく、何を話せば良いか、どの様に話せば良いか分からなかったため、留学当初はルームメイトとのコミュニケーションには苦労しました。それでも、辞書を片手に話しかけたり、ジェスチャーを交えたり、時には紙と鉛筆で絵を描きながら話をしました。最初はギクシャクしていましたが、彼も一生懸命に私の話に耳を傾け、私の拙い英語を理解しようと努力してくれたため、少しずつお互いを理解できるようになりました。
 
「留学前に不安だったことは?また、実際に留学に行ったら、どうでしたか?」
留学は、単身ではなく集団でのプログラムだったので、不安らしい不安はありませんでした。強いて挙げれば、ルームメイトが風変わりな人や危険な思想を持った人でありませんようにと思ったくらいでしょうか。実際にルームメイトは、ご両親がラオス人で、本人は医者を目指している優等生タイプだったので、平穏な寮生活を送ることができました。英語自体は、中学一年生でいきなり躓いたものの、結局は得意科目にすることができていたため、会話力も自然に身に付くだろう、飛び込んでしまえば何とかなるだろうと、楽観的に考えていました。案の定、ルームメイトとのコミュニケーションも最初の内は多少苦労しましたが、それも2、3週間が過ぎた頃には大きな問題ではなくなっていました。文化の違いも不安要素になり得ませんでしたし、実際に全く気になりませんでした。
 
「留学で得たものは何ですか?」
一番大きいのは経験だと思います。
後の人生において財産のひとつになると思います。
 
「留学が帰国後のキャリアや人生にどう影響しましたか?」
入社3年目、25歳の頃、仕事で留学経験が活きる機会がありました。たまたま配属された部署が、東南アジア諸国に事業展開することになったからです。そこで、一応留学していたらしい、多少英語が話せるらしいということで、その担当として私に白羽の矢が立ちました。留学から4、5年のブランクがあったため、英語力は大分劣化していましたが、それでも、現地の担当者に気後れすることはありませんでした。留学先でのいろいろな経験で、神経だけは図太くなったのかも知れません。それでも、留学という経験が良い影響をもたらしたことに間違いはないと思います。
 
「今後留学を目指す学生へアドバイスをください」
今は、インターネットで世界中のさまざまな情報を得ることができます。これは、私が留学した27年前では想像もできなかったことです。一方、今も昔も変わらないことがあります。それは、経験は実際に行った人、やった人にしか得られないということです。そこで見た風景、出会った人、吸った空気、匂い、味、温度、感情、あらゆるものが間違いなく、心と身体に記憶されます。将来、日頃は忘れていても、ふとした瞬間に鮮明に、また懐かしく蘇ります。私の場合、27年経った今も尚、そのように感じることがあります。留学先での勉強も経験、遊びも経験、酸いも甘いも全て良い経験となって、少なからず将来の糧となる筈です。目的や成果も大事かも知れませんが、今しかできない経験そのものを、大いに楽しんで欲しいと思います。

インタビュー実施日:2018/07/22

インタビューアーからのコメント

「印象に残った言葉」
「経験は実際に行った人、やった人しか得られない」という言葉です。インターネットがどんなに便利でも絶対にできないことであるため、それだけ経験の価値は大きいと思います。身体で実際に感じた記憶は、何年経っても忘れることはないと思うし、その後の人生においてずっと影響し続けると思いました。

「お話を聞いて、感じたこと、学んだこと」
今回は父にインタビューをしたことで、父の新たな一面を見ることができたと思います。父は、幼少期のアメリカ生活から時が経つにつれて英語を忘れてしまったというので、日本に帰ってからも意識的に英語に触れる環境に身を置くことの大切さがわかりました。また、私は留学先で友人ができるか、うまくやっているかなどの不安を感じやすい方ですが、父のように「行ってしまえば何とかなるだろう」、という気楽な気持ちも大事だと感じました。留学して初めのうちは、周りとの付き合いで大変な時もあるかもしれませんが、自分から積極的に関わるようにしていれば打ち解けられるようになるのだとわかりました。父が留学した時はまだインターネットも普及しておらず大変だったことが想像できますが、様々な手段を駆使しながらコミュニケーションしようと努力していたのは見習いたいと思いました。私も留学する際は、それぐらいの意気込みでいたいと感じました。

インタビューアー:杉村陽代李 (国際学部 国際地域学科 2学年)
留学は自分の人生観、キャリア観が大きく変わる貴重な経験です。
京都大学 大学院総合生存学館(思修館)准教授
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