インタビュー
自分たちがスタンダートではない
江川 由紀氏
2018年2月20日 334ページビュー 4年以上 アメリカ合衆国 大学 語学学校「なぜ留学しようと思ったのですか?留学にいたる経緯は?」
元々英語が苦手で、高校生の時に大学受験で英語を勉強するよりも、留学してしまった方が、役に立つ英語を学べると思ったから。
「留学準備で苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
願書、学生ビザ、飛行機の予約などすべて自分で行ったこと。
→心構えができた。
「留学中に苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
苦労したこと内面的 コミュニケーションがとれないこと
工夫したこと 現地の新聞を読んだ。(ライティングやリーディングを学べる)
洋画を英語の字幕付きで見て日常の英語を習得した。
苦労したこと外面的 ジャパンバッシングがあったこと
留学したときが、日本はバブル期でそのことに関して周囲からいろいろと言われることがあった。それに対して、言い返すためにも英語の習得を頑張った。日本代表として見られていることをそのとき初めて自覚した。
「留学前に不安だったことは?また、実際に留学に行ったら、どうでしたか?」
不安だったことは、飛行機に乗ること。高いとこが怖いから。
現地に着いたら、不安なことなど感じている暇もなかった。
「留学で得たものは何ですか?」
学位や語学力は前提として、まず一つ目は、自分はマイノリティであることを自覚した。
白人しかいない町だったので、自分のような黄色人種の人を見たことがない人がほとんどだった。子供が変な顔をして見てきたり、寮のポストに人種差別に関するポスターが入れられたこともあった。日本にいるときは、自分たちがスタンダートでそれが中心だが、世界はそうではないと知った。行くところによっては、自分がマイノリティになる。むしろ、マイノリティであることの方が多いと自覚した。
二つ目は、日本のことをよく知らなかったと自覚した。外国人は自分の国に対する思いがとても強かったが、自分は日本に対して何も思っていなかった。日本のことをよく知らない人たちが多く、世界の中での日本はどうなのかということを学ばなければ、日本のことを相手に語れなかった。
その二つのことを受け入れて、自覚して生活しようと帰国後も常に思うようになった。これが留学して得たことだと思う。
「留学が帰国後のキャリアや人生にどう影響しましたか?」
留学したことにより、自分の働くことに対してのスタンスが、周りの日本の大学を卒業した人たちとは違った。ちゃんとした就職活動はせず、能力を買ってくれるところがあれば働こうというスタンスでいた。
外国は実力主義で転職を重ねていくような世界だった。だから転職することを恐れなかった。自分に合わないと思ったら、ステップアップしていくためにどんどん転職した。結果よい方向に向いた。躊躇をしなかったのは留学経験があったから。
「今後留学を目指す学生へアドバイスをください」
留学すれば何かを得られるという安易な考えだと何も得られないと思う。明確に留学して「これを手に入れて帰ってくる」というような、具体的な目的を持って行くというのがとても必要なことだと思う。
生活環境は、寮やホストファミリーでなく自分でアパートを借りて生活してみてほしい。最初からはできなくても、自分ですべてやることによって留学先の本当の文化を知ることができ見識が広がる。そのおかげで友達も増やすことができ、とても良い経験ができたのでぜひ試してほしい。
インタビュー実施日:2017/07/16
インタビューアーからのコメント
「印象に残った言葉」
「自分たちがスタンダートではない」という言葉が印象に残った。
世界各国には、いろんな人種や文化があり、今見ているものはほんの一部の世界でしかないと改めて感じた。その言葉を聞き、幅広い視野で、たくさんの世界を見てみたいという思いが強くなった。
「お話を聞いて、感じたこと、学んだこと」
今回インタビューに答えてもらった由紀さんは、留学プログラムなど使わずにすべて自分でやって留学した方なので、苦労することは普通の人よりも多かったと思う。それもあってか、留学したことが今の由紀さんの人生にとても大きな影響を与えていることが、生でお話を聞き、強く感じた。私も留学する際は今回伺ったお話を参考にして、自分でできることはすべて自分でやり、精神的にも人間的にも成長できるよう頑張りたい。
インタビューアー:飯塚 沙耶(東洋大学)