留学のすすめ.jp

Invitation to Study Abroad

Disseminating the Impact of Study Abroad
Inter-generational Knowledge Transfer

インタビュー

やりたいことをただ、やればいい

上田舞香氏

2018年2月20日  1,518ページビュー
2年以上   ドイツ   大学  

「なぜ留学しようと思ったのですか?留学にいたる経緯は?」
 4歳からモダンダンスを始め、6歳からクラシックバレエ、中学校から本格的にバレエに力を入れ始める。その頃から、バレエのことだけを考えて生きていきたい、プロになるために本場で踊りを学びたいと思い、留学を考えていた。バレエ留学は留学先のオーディションに合格しなければならない。高校生の頃日本のスタジオにロシア・ワガノワの先生がやってきて、うちのオーディションを受けに来なさい、採用するからと言われすぐにオーディションを受けるも、まさかの落選。そののち、通っていた日本バレエスタジオの先生とドイツ・マンハイムの留学先の校長先生が知り合いだったこともあり、そちらのオーディションを受け、合格。高校2年生の夏からドイツ留学が始まった。
 
「留学準備で苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
 通っていた高校で、ドイツ語を学ぶことができたため、語学の準備を十分にできる環境であった。
 
「留学中に苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
 留学中はシェアハウスに住んでいたのだが、一時引きこもった。食生活は自炊であったが、求められる体型維持のレベルが高かったことや、バレエと同時にコンテンポラリーダンス(現代舞踊)も重点的に身につけたいと考えていたが、想像以上にバレエの比重が大きかったことなどが原因であったと振り返った。また、校長先生との相性も合わなかったことに気づく。帰国後、留学はどうだった?と他人に聞かれるのも億劫なほど、心身共に苦労も多かった留学だった。
 
「留学前に不安だったことは?また、実際に留学に行ったら、どうでしたか?」
 留学前に不安だったことは、性格上なかった。(留学にかかる費用について質問し、)ドイツの国立であったため学費が安く、さらにダンスそのものも国で優遇されているため、費用の面でも大きな心配事はなかった。
 
「留学で得たものは何ですか?」
 ダンス技術の向上はもちろん、キャラクターダンス(民族舞踊のリズムやステップを取り入れた踊り)などの自身にとって新しいジャンルの踊りとの出会いもあった。また、留学先での学年末の試験で振り付けの作品を手がけたところ、その作品が認められ、学校公演にまで発展した。自分の作品が認められた経験から、自信や制作の楽しみに気づき、ダンサーとしての道と、振付師としての道どちらにも可能性を見出した。
 また、編入したクラスは、比較的日本人の生徒が多かったものの、ほかにもブラジル人、ドイツ人、オーストラリア人などの生徒もいた。そこで、日本人と外国人との表現力の違いを感じた。日本人は表現が比較的苦手である。外国人は他人と会話するときでさえ、身振り手振り、表情を駆使して表現をしていた。そのような異文化に触れることによって、日本人を客観視することができた。そこで、彼らみたいになりたいという想いと、自分は自分でありたい、自分のやりたい(表現したい)ことをしたいという想いが同時に起こった。どちらの想いも大切にしたい、分けて考えたくないと感じた。そして、「私は私」という自我が強まった。
 
「留学が帰国後のキャリアや人生にどう影響しましたか?」
 本場で学んできたという自信、本場で認めてもらえたという経験からの自信、自分はできるという自覚が、現在の活動に活かせている。
(9月からイタリアのダンスカンパニーの研修生として活動)
 
「今後留学を目指す学生へアドバイスをください」
 やりたいことをただ、やればいい。やりたいことに関しては、周りの意見は必要ない。ただし、言語はある程度日本で準備していこう。得られるものも得られなくなってしまう。現地で、周りの日本人と絡み過ぎてしまったという後悔があるので、積極的に異文化に触れよう。情報はいくらでも手に入るが、自分の目で見、感じたことを大切にしよう。
 自分がそこにいる目的を見失わないことが最も大切。

インタビュー実施日:2017/07/12

インタビューアーからのコメント

「印象に残った言葉」
「彼らみたいになりたい、でも自分のやりたいことをしたい。どっちも分けて考えたくなかった。」
 留学先で外国人と接してみてどうだったかを聞いたときにこの言葉が上田さんの口から自然と出てきました。とてもリアルだ、と感じました。“彼ら”に対する憧れと、今の自分の表現したいもの、表現の世界においてはどちらかが欠けてはならない。そこに劣等や嫉妬のない純粋な憧れと、自分の表現の持ち味が共存することで表現の幅を広げるのではないかと感じました。私自身、芸術や表現の類に日頃触れているわけではありませんが、違う人種と接したときの自分の感情、化学反応を大事にしたいと感じました。

「お話を聞いて、感じたこと、学んだこと」
 まず、高校生でしっかりとした目的があって海外留学に行くというのは、私の人生からはとても考えられなかったことで、その行動力に驚きました。しかしそれ以上に、引きこもったというエピソードには本当に驚かされました。目的が鮮明だからこそぶつかる壁に出会ってしまったようにも感じました。それでも学ぶべきことと向き合い、自分の感情と向き合った強さを感じました。「苦労は多かったけど、もちろん後悔はしてない。今に活かせている。」という言葉は、疑う余地もないほど力強く真っ直ぐでした。目的を貫くことの大切さ、異文化との違いから自分を知ることの大切さを学ばせていただき、とても有意義な時間を過ごせたことに、上田さんへの感謝でいっぱいです。

インタビューアー:齋田祐哉(東洋大学)
留学は自分の人生観、キャリア観が大きく変わる貴重な経験です。
京都大学 大学院総合生存学館(思修館)准教授
関山 健 氏
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