インタビュー
「やりたいことをやって」~カレーを愛するカレー屋さんからのメッセージ~
酒井佳樹氏
2017年10月20日 1,210ページビュー その他 マレーシア【インタビューゲスト】酒井佳樹さん
知人からの誘いをきっかけにマレーシアに渡り、1年半の間マレーシアでカレー屋を営み、現在では愛知県一宮市にあるカレー屋CURRY THE KITCHENを営む。
マレーシアでの経験から見えてきたことや、留学への心構えについてお話を伺った。
英語は日本でも学べる、英語は手段
マレーシアに行きカレー屋を開くことになったのは知人の誘いがきっかけだったそうだが、そこでは店の内装や従業員の募集なども全て自分で行ったという。この行動は非常に勇気を要するものだが、何よりも英語を話すことができたからできたことだとも言える。
「語学留学という言葉に違和感を感じますね。英語を学ぶという目的で海外へ留学するのは間違いではないと思うんですが、日本国内でだって英語は学べます。海外でしかできない経験の価値を最大化するための「道具」として言語を捉え、日本にいるうちにその道具、つまりその言語をある程度のレベルまで磨き上げておくのがいいと思います。もちろん、結果として外国語レベルでの向上にはつながるのですが、言語習得を留学の目的とするのか、もしくは手段とするのか、この二つのスタンスの違いが、留学先で得る経験の質に与える影響は大きいです。海外でしかできないことをするために、英語を手段として用いるべきなのではないかと思います。日本にいるうちに英語をある程度のレベルまで持ち上げておいてから留学に行くのと、英語を学ぶためだけに留学に行くのとでは、やはり帰国した後に得るものが違うと思いますよ。」
苦労もあった、でもだからこそ今のカレーがある
マレーシアといえば東南アジアの中で裕福な国として知られ、周辺の様々な国から人が集まる多国籍国家でもある。酒井さんがマレーシアで営んでいたカレー屋にもイラン、バングラデシュ、スリランカ、インドネシア、ミャンマー、ネパールから人が集まりさらにそこに中華系、マレー系マレーシア人も合わせ、8か国から従業員が集まったという。 多国籍ゆえの苦労もあったようだ。
「8か国出身の人が集まると、さすがにまとめるのが大変でしたね。それに人種差別もありましたよ、日本人なら言わないようなことを普通に言う。例えば、世界最貧国と言われているバングラデシュ出身の人をみんな下に見ていましたね。あとスリランカ人のことも下に見ている人が多かったです。優秀だからということを理由に、バングラデシュ人に高い給料をあげた時は、すごく不満を言われたりもしました。そんな感じで大変なことが多かった反面、多国籍メンバーから成る従業員だからこそカレー屋である僕には利点もあった。本場のカレーをまかないとして作ってもらうことができたんです。本場の国の人が作るカレーは最高でしたね。日本にいただけでは絶対にたどり着くことはできなかった味でした。マレーシアでは苦労もありましたが、最終的には実を結びましたね。」
なんでもあり!迷うなら留学すべき
留学をしたくても勇気が出ず、迷ったことのある人は多いことだろう。そんな人へ向けて酒井さんからメッセージをいただいた。
「迷っているなら行くべきです。極論を言えば、いつ死んでしまか分からないんだったらやりたいことをやった方がいい。やりたいことをやると、人生の満足度が違うなと思います。外国は日本と海を隔てているので、全く新しい文化や考えを持っている可能性が高いんです。そういったものはすぐに役に立つとは限りませんが、なんだかんだ後々自分にとって有効なものになります。留学をすれば、絶対に得るものがあるとは言い切りません。ですが、留学を通して得たものは後で役に立つと信じて行くのが“留学”なんだと思います。なんでもありなんです。迷っているならぜひ留学してみてください。」
インタビューアーからのコメント
インタビューアー:新留あさみ(東北大学理学部地球科学系1年)