インタビュー
グローバル=サバイバル
柏崎梢氏
2016年11月11日 1,207ページビュー 2年以上 タイ 大学院(修士)【インタビューゲスト】 柏崎梢先生
(東洋大学国際地域学部国際観光学科講師)
大学二年生の海外研修でタイへ行ったことをきっかけに、東洋大学卒業後22歳の時にAIT(アジア工科大学院大学)へ2年間修士課程取得のため留学。都市環境マネジメントを専攻し、スラムについての研究をされました。
その後東京大学の大学院で研究を続け、今は東洋大学の国際観光学科で講師をされている柏崎梢先生にお話を伺いました。
(生徒)なぜ留学しようとおもったのですか?
私も国際地域学部国際地域学科4期の卒業生なのですが、二年生のときに夏の海外研修でタイへ行ったことがきっかけでした。参加した理由は、途上国のアジアに興味があったからというのと、せっかく大学にいるのだから学校が主催している研修に参加してみようと思って参加しました。そこでのスラムでの活動や勉強していた大学のキャンパスにすごい惹きつけられました。昔はアジア工科大学院大学という国際教育機関が研修先だったんです。大学自体はタイにあるのですが、大学内では英語が飛び交っていて、それぞれ国籍も年齢も違う人たちが友達になって一生懸命に現状に取り組んでいる姿を見てすごくいいなと思ったことと、また、最初は私自身スラムにはマイナスなイメージしかなかったのですけれども、実際スラムにインタビューに入ってみたら、住民の人たちが私をどんどん中に入れてくれたことがとても私にとっては驚きで、どうしてこんなに私たちのことを受け入れてくれるんだろう、日本とはぜんぜん違うなって思ったんですよね。人間の根本の部分がすごく温かい人たちだなと、タイの人たちはすごく素敵だなって思ったんです。この2つのポイントで「私は大学を卒業したら絶対にAITに留学するぞ」という気持ちになり留学を決心しました。
(生徒)留学に行って一番印象に残った出来事はありますか?
AITで1年目は環境インパクト分析や統計学など理系の科目も多く勉強していたんですけど、2年目にクラスでグループワークをしたときに「私はスラムのコミュニティーが知りたい」と提案したら理解されなかったことです。タイよりも貧しい国出身の仲間からは「タイのスラムはスラムじゃない。僕らの国では普通だ」「調べる必要がどこにあるんだ」といわれてショックを受けたのが一番印象に残っていますね。日本人である自分は知らない間にずいぶん上から目線でタイのスラムを見ていたのだなということに気付き反省しました。でもそうはいっても、私がスラムについて研究したいと思っていたのには理由がありましたので、「発展していく中で貧困層は絶対に生まれてくるし、格差問題はアジアの中でも大きな問題なので、そういう人たちをひっくるめて生活をよりよくしていくためにはどうしていけばよいのか。きっとこれから必要となってくると思うから、スラムで暮らす人々の今ある人の繋がりや住まいを調べなおそうよ」と説得しました。そうしたらグループメイトも納得してくれて、チームの研究テーマを「スラムのコミュニティー」に決めることができました。この時のことは今でも鮮明に覚えていますね。
(生徒)これから留学をする学生、また留学を迷っている学生に一言お願いします。
海外で働くのってすごく楽しいよってことを伝えたいです。留学は、どちらかというとお金を払って得る機会ですよね。そこで得られる経験は大きいとは思います。でもそれは人生の中のきっかけでしかなくて、そのあとでもっと英語を使って、自分の責任として本気で現地の人たちと一緒になって考えていろんな企画を作るだとか、体当たりで現地の人と付き合うことが社会人になって仕事としてできるようになるんですね。それはすごく大変なことではあるけれど、やった分成果がでるので喜んでくれる人もいて、しかもお給料もでる。責任をもって集中して仕事に取り組めるので、すごく楽しいんですよ。あと、留学を迷っている人は迷うのではなくて、将来海外で働きたいなどの希望を持ってから留学に行けば、それを楽しみに留学をフル活用できるようになると思います。留学は留学だけでは終わらないと思うので、その先が大切だと思います。あと、進学で留学するのももっと増えていいと思います。交換留学もいいとは思うけど、忙しすぎるんじゃないかな。確かにお得でいいかもしれないけど、大学で4年間しっかり学んでから海外の大学で知識を深めて修士号を取りに行くのも有りかと思います。それで、そういう生徒が増えて一緒に研究できたらいいなと思っています!
インタビュー実施日:2016/06/09
インタビューアーからのコメント
印象に残った世界とつながるキーワード
・自分がやりたいことは一人でも続ける。それは誰かが絶対にみてくれている
・グローバル=サバイバル
お話を聞いて感じたこと、学んだこと。今の自分と繋げて思うこと。
・私はお金のことがすごいネックになって留学へ行くことを迷っていた。でも柏崎先生のグローバル=サバイバルというお話を聞いて、何かを変えたり、何か自分のやりたいことをしたりするには自分で何かを犠牲にしてでも切り開いていくしかないのだと感じた。自分はやりたいことがまだ見つかっていないので、留学行くことを焦らずにしっかりと自分の将来について考えて留学のその先を見据えて勉強に励みたいと思った。
インタビューアー:小林愛実(東洋大学国際地域学部国際地域学科1年)