インタビュー
地域の人々と「助け合う」街づくりを
神田 すみれ氏
2016年11月11日 798ページビュー 6年以上 アメリカ合衆国 大学 高校【インタビューゲスト】 神田 すみれさん
(せと・おせっかいプロジェクト代表)
地域の人たちのどんな生活の悩みでも相談できる瀬戸市のボランティア団体「せと・おせっかいプロジェクト」の代表である神田すみれさんに、ご自身が経験された海外体験についてお話を伺いました。
(学生)―― 高校1年生の時にアメリカに留学されたとのことですが、どのような経緯で留学されたのですか?また留学先ではどのような体験をされましたか?
そもそも留学は1年間の短期留学の予定でしたが、留学中に両親が離婚。すると、滞在していた現地のホームステイ先の夫婦から「ここに残りたければ残りなさい」と言われ、そのまま大学卒業までの7年間、留学することになりました。
ですが留学先の地域は、ほぼ白人だけで構成されているような小さな町で、アジア人に会うのも初めてというような国際色豊かなとは程遠い町でした。
街の人たちはひとり交換留学生としてやってきた私をあたたかく迎え入れてくれましたが、最初は言葉も通じない中で、コミュニケーションもなかなか取れず、自分の存在意義が無くなるのではないかと思うくらい、心細い経験もしました。
しかし、そのような状況下でもどうやったら学校や地域の人たち、そして周囲の人たちと良い関係を作れるかを考え、言葉が通じなくてもコミュニケーションをとる方法を考えました。例えば自分から相手に声をかけるとか、自分から進んで自己開示するなど、互いの関係性の中で信頼関係を作れるよう努力しました。
地域の人たちも本当に優しく私に接してくれました。お世話になったホストファミリーは実の子どもと同じように3年間無償で私を育ててくれましたし、退職した元高校の先生に3年間毎週無償で勉強を見てもらったり車社会の中で移動手段がない私を日常的に地域の人たちが車にのせてくれるなど、たくさんの人に助けてもらい、「助け合い」の大切さ、有難さがよくわかりました。
(学生)――外国人の方の相談に対応するときもご自身の海外体験が、そのような場面でどのように役に立っていらっしゃると思いますか?
外国人の方は上手く日本語が話せずコミュニケーションが取れない、日本語が読めないなど、様々な困難を抱えていらっしゃいます。
例えば、郵便物ひとつとっても、もっと早くお知らせの内容を本人が把握していたら、そして、相談に来てくれていたら大事にならずに済んだのに、というようなケースもあります。
外国人の方は私たちが想像している以上に様々なバックグラウンドがあります。そのような目に見えない様々なバックグラウンドに配慮することが大切なのだと分かったのは海外体験の影響が大きいと思います。
海外体験を経て感じた事の一つに、「自分の常識」が必ずしも正しいわけではない、というのがあります。お互いの異なる常識や考え方を尊重して、その人と良い関係を作ること、そして「自分は一人ではない」を実感できるような社会になっていければと良いなと思っています。
(学生)―― 本日はありがとうございました。
インタビュー実施日:2016/06/21
インタビューアーからのコメント
●印象に残った世界とつながるキーワード
・「自分の常識」は世界で絶対の常識ではなく、様々な考え方がある。
●お話を聞いて、感じた事、学んだこと。今の自分と繋げて、思うこと。
「助け合い」の精神は非常に大切なのだなぁと思いました。本文中には書かれていませんが、お話の中で「自分が今までしてもらったこと」を他の人に対してもお返ししていく、という言葉が大きく心に残りました。個人的には人は一人では生きていけず、相互の関係性の中で生きていけるものだと思います。困ったときは助け合うことの大切さ、そして助けてくれる人がいることの有難みを改めて感じさせていただきました。
インタビューアー:太田 龍(東洋大学2社会2年)