インタビュー
みんなが『幸せ』と思える社会の実現
鎌田 みどり氏
2016年8月31日 306ページビュー コスタリカ 大学院(修士)【インタビューゲスト】 鎌田 みどりさん(JICA東北支部職員)
青年海外協力隊としてジンバブエに派遣された後、コスタリカの国連平和大学に進学し、現在はJICA東北支部で復興支援に携わっている鎌田みどりさんにお話を伺いました。
――まず、青年海外協力隊への参加や留学を決意したきっかけを教えてください。
中学生の時に、フィリピンで現地の人たちのために活動している先生の話を聞いて、「そういう仕事もあるんだ、途上国って何だろう」と考えたのがきっかけです。子供のときから音楽をやっていたので、それを使って自分にできることをしたいなと思いました。協力隊でジンバブエに行った後、JICAで働きたいと思い、新潟でJICA新潟デスクとして勤務しました。その時に協力隊関係者に配られる雑誌で国連平和大学の広告を見たのです。この大学は、平和学を学べる大学です。紛争のことであったり、途上国のことであったり、平和というとても広い概念を学べるのでこの大学にいこうと決意しました。
――大学院で学んだマイノリティの人権について詳しく教えてください。
コスタリカの中でのマイノリティとしては少数民族が一つあるのですが、私自身アイヌや朝鮮系の人などの日本でのマイノリティのことは興味があり、高校生の時からそういう勉強をしたいなと思っていました。偶然コスタリカでチャンスを得られたので少数民族をとりあげました。それが今、被災者をマイノリティと捉え、その方々を支援するという復興支援事業を担当する仕事に就いたいきさつになっています。いま私は仕事の中で、日本で被災した方々の経験や教訓を集めて、途上国で同じような問題を抱えた国と共有するためのヒント探しをしています。こちらから途上国に持って行く場合もありますし、途上国の方が直接こちらに学びに来られることもあります。そんなときに被災地の方々と途上国の方々一緒に学べるような場づくりをしています。海外の方が被災地について学ぶ中で、被災地の良さを発見することにより、被災者が勇気づけられる場面があります。日本がその経験を教えるだけではなく、途上国の方々と共に学べる場づくりに力を入れています。
――これまでの経験をいかしてこれからやっていきたいことは何ですか
(写真「未来へのアクション」)
――発展途上国の人も先進国の人もということですか?
そういう区切り方をしなくても、自分たちのすぐ近くに幸せを感じられない人たちがいることもあります。例えば最近は、日本国内に広がる貧困がニュースになっています。まずは、日本、途上国関係なく、私たちの思うよりも身近にそのような問題があるということに気付くことが大事だと思っています。そのためには、全く知らない相手を理解するという態度も必要になってきます。また、そのような問題が一つ一つ取り除かれて初めて「幸せ」という状態に近づいて行くのかと思います。差別やいじめ、貧困、暴力など不幸せになる要素はたくさんあると思います。
そして、先進国と途上国がお互いに上と下ではなくて横でつながり、いずれは「先進国」「途上国」という区別が必要なくなるくらいが良いなと思います。お互いに手を携えて学べる関係を作ることができればと思います。途上国は日本であまり知られていない国も多いですので、今の仕事を通して少しでもたくさんの方に途上国のことを知ってもらいたいと思いますし、それがいずれは世界をよくするための種まきになるかなと思っています。
インタビューアーからのコメント
・印象に残ったキーワード
「先進国と途上国が上下ではなく横につながって、区別が必要なくなればいい」
・お話を聞いて感じたこと、学んだこと
海外で様々な経験をなさった鎌田さんの考え方のスケールの大きさに圧倒されました。平和とは何か、幸せとは何かということを改めて考えさせられました。また、社会問題は途上国だけでなく身近なところにもあり、関連性を考えることで解決策を見いだせる可能性があるのだと感じました。実際の海外体験でイメージとの違いを実感したという鎌田さんの言葉を聞いて、やはり知らない世界に飛び込むことで得られるものは大きいのだと感じ、知らない世界を見てみたいという気持ちがいっそう強まりました。
インタビューアー:栗原 希 (東北大学 文学部 人文社会学科1年)