インタビュー
それぞれのスタイルで始めれば良い
松村 泰起氏
2015年11月1日 1,695ページビュー 1年以上 4年以上 アメリカ合衆国 大学 大学院(博士)JAXA(宇宙航空研究開発機構)でロケットの開発に約12年従事したのち、より先進的な設計手法・リスク評価手法の研究を行うため、フロリダ大学工学部機械航空学科の博士課程に留学された、松村泰起さんにお話をうかがいました。
留学のきっかけを教えてください
2007年に1年間、より新しいデザインや設計を学ぶためにフロリダ大学への海外研修プログラムに参加しました。帰国して約1年後、海外研修プログラムでお世話になった教授から新しい研究費が出たので一緒にやらないかと声をかけられました。その研究テーマは自身がやりたいことであり、ものづくりの設計の最先端の手法を勉強しに留学しました。
アメリカでの様子を教えてください。
大学を卒業して10数年経っていたので、授業はとても大変でした。博士課程でも授業たくさん取らなくてはならないし、テストもたくさんありました。JAXAを退職して留学したので「落第するわけにはいかない!」と強い思いで勉強に取り組みました。私の立場は学生でありつつ研究の実務を行うリサーチアシスタントでありましたので、+α論文も書かなくてはならず、忙しい毎日を送っていました。フロリダ大学にいる日本人研究者に声をかけ、2週間に1度、自分のやっている研究を発表する勉強会をたちあげました。みなさん研究テーマが異なるので、新たなことを知ることができ、ぜいたくな時間を過ごすことができました。留学後の今も幹事を引き継いでくれています。留学中はすでに子供がいて、現地の学校に行かせました。奥さんや子供を通じてアメリカでも様々な出会いがありました。普通は子供の卒業を親が祝いますが、子供に自分の卒業を祝ってもらえて嬉しかったですね。
家族を連れての留学は奥さんの反対はなかったのですか?
特に反対はありませんでした。以前にも奥さんと子供を連れて、1年間の研修で同じ所へ行っていたので、大きな心配もなかったです。
留学中印象に残ったことはありますか。
私が宇宙を明確に志したのは1986年チャレンジャーのスペースシャトルでした。留学中にケネディ宇宙センターで2回ほどスペースシャトルの打ち上げを生でみることができました。キャリアの原点であるスペースシャトルを家族と見ることができるとは思っていませんでしたし、初心を思い出させてくれました。
留学して変わったことはありますか?
何歳になっても新しい環境で新しいことを学ぶことができる、という自信がつきました。新しいことをはじめること、自分の知らない分野の勉強をすることに抵抗がなくなりました。
留学に興味があるのですが、英語があまりできないのですがどうすればよいですか。
スタート地点はみなさんそれぞれです。人と比べる必要も全くありません。言えることは、留学へ行くと未来への扉が開くようになります。留学前まで私の奥さんはほとんど英語を勉強してこなかったのですが、今では英語で日常会話できます。現地の人が言っていることがすべてで、吸収していくのが早かったです。そこまで心配することはないと思います。
インタビュー実施日:2015/06/07
インタビューアーからのコメント
1番印象に残ったことは、それぞれのスタイルで始めれば良いということで、誰かの真似をする必要はないのだから、自分は自分でやりたいことをやれば良いということです。このお言葉のお陰で、私は私なりにやれば良いのだと励まされました。
インタビューアーからのコメント
普段お話する機会のない留学経験のある社会人の方のお話を聞くことができたのは、貴重な経験でした。インタビューを行って、大学生のうちに海外に行きたいという思いがさらに強くなりました。
インタビューアー:福谷 理沙