インタビュー
作業療法研究を通じ、人の健康・幸福を促進する
近藤 知子氏
2015年10月8日 884ページビュー 6年以上 アメリカ合衆国 大学院(博士)・留学をすることになった経緯を教えてください。
―日本で作業療法に関する専門学校に通い、卒業してからも仕事をしながら夜間の大学に通い学士を習得しました。その後、ニューヨークのバッファロー校で修士、ロサンゼルスの南カリフォルニア大学に博士号を習得のため、留学をしました。留学をしようと思ったのは、仕事をする中で、もっと作業療法を勉強したいと思ったからです。
・留学をして得たものや苦労したことはなんですか?
―楽しかったことは、やはりいろんな国の人と出会えたこと。大変だったのは英語。英語がほとんどできないまま留学したので、最初は授業も理解できなかったです。英語でのディスカッションはものすごく難しかった。修士のときは1クラス7人ぐらいで、アメリカ人が3人で留学生が4人だったので、留学生はみんなで助け合い、アメリカ人がサポートしてくれたので、、なんとか乗り越えることはできましたね。生活面でもたくさん苦労しました。最初、1か月ぐらい英語学校に通い、そこで知り合った留学生と3カ月間、同じアパートに住みました。ベトナムやセネガルから来た人達です。その後その人たちが別の大学へ行ったので、またルームメイトを探し、いろんな国の人と住みました。その時に、アジアの国の人が親しみやすいなあと感じました。生活は一つ一つがサバイバルでした。例えば銀行のシステムは日本と全く違うし、運転免許をとるのも苦労しました。
・海外に行って気付いたことはなんですか?
―実際にアメリカに行ってみて感じたのが、人種の違いが歴然とあるということです。カフェテリアに行ったら、黒人は黒人、白人は白人、アジア人はアジア人どうしで集まっていることが多くて、黒人と白人のグループが一緒に食事をしたり話をしたりしている場面はほとんど見なかった。たぶん避けているというより、そのほうが、居心地が良いのだと思いました。私もルームメイトを選ぶときはアジア人が多かったので、やっぱり文化的感覚が似ている人とコミュニティーを作りやすいのではないかと思いましたね。それと私が道を尋ねるときは無意識的に白人に声をかけていたけれど、一緒にいた友達のセネガルの人は必ず黒人に声をかけていました。このことから、もしかすると自分の中で、アメリカは白人の国、そこで信頼できるのは白人、というような偏見があるのかもしれないと気付きました。これは行ってみないと分からなかったことです
・留学に行って得たものはなんですか?
―得たものはネットワーク。各国の同じ仕事の人と多くつながることができました。いまでも、国際学会に行ったときに、その人たちと会ったり、一緒に仕事をしたりしています。留学時代に出会った先生とは、いまでもプライベートで付き合ったり、いろいろ教えてもらったりしています。
インタビュー実施日:2015/06/07
インタビューアーからのコメント
留学に対してハードルが高く感じ、不安な面も数多く存在するなどして、一歩が踏み出せずにいる大学生が多いであろう。私もその一人だ。そこで近藤さんは留学をしたいと思っている人は現実的に考え調べてみると仰っていた。費用や現地での宿泊などを調べることでハードルが低くなり、不安も減ってくるからである。
また、最後に近藤さんに「学生がやっておくこと」について伺ったところ、新しいことに挑戦すること、小さいことでもいいので今までとは違うことをやってみなさいと仰っていた。見ている世界を変えるには、自分から行動するしかないなとインタビューを終えて思った。
インタビューアー:佐々木 隆生