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インタビュー

アメリカ留学記~人生を変えた13年~

福森 栄次氏

2015年7月14日  796ページビュー
6年以上   アメリカ合衆国   大学院(博士)  

今回は、アメリカへ13年間留学したという福森栄次さんに留学のあれこれを伺いました。

福森さんは東京で7年間働いた後1975年に日本を出発し1988年に帰国しました。当時はまだ成田空港がない時代で国際線の離着陸は主に羽田から、さらに海外へ持ち出せる金額にも制限があるなど現在ほど海外渡航の整備が進んでいない時代でした。

留学のきっかけ

Q. 留学をしようとしたのはどうしてですか?
A. 一方的に「このようにしろ」とか「これはだめだ」と押し付けられることの多い日本を離れて、世界にはどんな考えを持ったひとがいて、社会が何で動いているのかを知り自分の視野を広げたかったから。それとともに自分の持っている土木技術を高めたいと思っていて、それを実現するためにも留学をしたかった。

Q. 留学するにあたって不安はありましたか?
A.  なかった。英語は全然話せなかったし周りの人も「アメリカに行って大丈夫?」とか「会社はどうするんだ?」などと心 配してたが気にしなかった。とにかく留学することだけを考えていた。むしろビザが降りるかどうかの方が心配だった。
福森さんはアメリカへ行くことに関して不安はなかったようです。むしろ、留学を成功させることしか浮かばなかったといいます。そしてその通り福森さんの留学の13年は何物にも代えがたいものとなったようです。渡米から5年して一度帰国することがあったそうですが、アメリカを離れる際に思わず涙が流れたとインタビューの最後に聞きました。アメリカは福森さんにとって第2の故郷となったのです。

アメリカでの大学生活

福森さんはニューヨーク州立大学バッファロー校(UB)付属の語学学校に1年通ったのち、ニューヨーク州立大学バッファロー校へ進学し学位(BS)を取得しました。1980年にアリゾナ州立大学(U of A)へ移り有限要素法(注1)で有名な教授のもとで修士号(MS)を取得しました。その後博士課程も含みアリゾナ州立大学で3年半学びましたが刺激になるものに出会えず、再びニューヨーク州立大学バッファロー校へ戻り1987年に博士号(Ph-D)を取得しました。

授業を受けるなかで苦労したことが周囲の雑音で講義の内容が分からなくなること。アメリカ人はおしゃべりですぐに脱線してしまうこともしばしば。おかげで授業中は眠くならなかったかわりに、雑談のせいで講義の内容が分からなくなってしまうことがあったといいます。

また現地での生活費や授業料を少しでも抑えようと、週末や夏休みに芝刈りや皿洗いといったアルバイトをこなしました。学校に慣れてくると教授からも仕事をもらえることがあり、それらに積極的に参加していたといいます。さらに留学中の13年間の内10年間はTA(Teaching Assistant)や RA(Research Assistant)の仕事をもらい生活費を稼ぐなど、手の届くものはなんでもやったそうです。そうしてニューヨーク州立大学バッファロー校とアリゾナ州立大学での学生生活を過ごしたというのです。博士取得後は、ウイスコンシン州立大学ミルウォーキー校でポストドク(Post doctorate)(注2)の仕事をされたと聞きました。

(注1)有限要素法…構造解析や流体解析などで用いられる数値解析の手法の1つ
(注2)ポストドク…博士を取得した後に大学等で研究職に就くこと

アメリカ滞在中は必ずしも安全とはいえませんでした。特にアメリカ南部の方では、突然襲われてお金を奪われるということや、まきこまれはしなかったものの銃撃戦の現場の近くにいることがあったそうです。また日本人に対する人種差別もあり危険な日々を過ごすこともしばしばあったようです。ただ危険回避のルールを守れば至って安全な生活が送れると聞きました。

留学がもたらしたもの

留学によって仕事の意識が変わるということは無かったそうですが、その代わりに自分の決めた目標に対して自分で期日を決め自分の方法で達成する苦労や努力をするべきと考えるようになったといいます。「誰かに言われた高校、大学へ進学して卒業、そして就職してまた誰かに言われた部署で退職まで働く」これは自分の人生ではないと福森さんは話します。誰かが決める人生ではなく“自分で決めた道”を進むべきということに留学が気づかせてくれたということです。

留学を目指す人へ

Q. 留学で大事だと思うことは何ですか?

A.自分なりのビジョンを持つこと。なんの目標もなく留学に来てしまっては、自分の理想を実現するためのヒントを見逃してしまう。ある程度のビジョンを持っていれば、それを見過ごすことなく自分のものにできる。またビジョンを持つためには自分の追及すべき問題に誰よりも先に着手する。「その問題のベストな解決法は何か?本来ならばどうあるべきか?」といった疑問を追及する苦労を惜しんではいけない。そしてその問題が解決したらすぐに新たな疑問をもち再び追及する。誰よりも早く、誰よりも深く追い求めること。

あいまいでも自分なりになにか目標をもって留学に臨めばきっと光るものに出会えると教えていただきました。留学で何をしたいか見つけられないでいる人もきっといると思います。留学に行く前にどんなに些細なものでもいいので疑問を持って追及してみましょう。

取材の感想

今回福森さんに取材をさせていただいて、改めて留学への興味がわいてきました。まだ具体的な目標を見つけられてはいませんが何か 1つでも追及したくなるようなものを探してみたいです。個人的に一番印象に残ったことが、福森さんが帰国する際に涙が流れたというエピソードでした。離れたくないと思えたのもやはり留学が成功するというビジョンがあったからだと思います。自分も留学先を離れる際に思わず泣いてしまうぐらい充実した留学をしたいと思いました。

最後に記事作成にあたり、インタビューに協力していただいた福森栄次さんにこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

インタビュー実施日:2015/07/01

インタビューアーからのコメント

よく留学先が第二の故郷となるといいますが、今回それを実感しました。離れたくなくなってしまうほどその国に魅了されてしまう、そんな留学先を自分も経験したいなと思いました。

インタビューアー:中野 将綺
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