特別インタビュー
だから留学はおもしろい 無気力な貴方にこそ読んでほしい、留学の面白さ (前編)
一般社団法人日本国際化推進協会 事務局長兼専務理事 大村貴康氏
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大村貴康氏(一般社団法人日本国際化推進協会 事務局長兼専務理事、文部科学省 官民協働海外留学支援制度 トビタテ!留学JAPANプロジェクトチーム)
1989年生まれ。世界の若者をつなぎ、「日本語ネットワーク」の構築に力を注ぐ。獨協大学在籍時、アメリカ留学経験がある。その後「ゆとり世代を馬鹿にする」世の中に不満を抱いたことを契機に世界一周を経験。卒業後、大手企業に入社。退職後、現職。
学生時代編
【衝撃】『“友達”が好きだから世界回ってみようかなぁって』
鮎川 「では、大村様本日はよろしくお願いいたします。私は東洋大学の・・・」
大村 貴康様(以下大村) 「あ、、わかってるんで大丈夫!!ありがとうね。(事前に顔合わせ済)」
鮎川 「あ、、」
一同 (笑)
鮎川 「では、在学中に世界一周された大村さんは、並みじゃないなって風に思ったんですけど、でもなんで世界一周だったのかなと。『ゆとり世代がこれから社会に出ていく。そうなると日本はダメになる。』っていう記事をお読みになって決意なさったということですが、他にも手段ってあったと思うんですよね。勉強を極めるであったり。なぜ、世界一周だったのでしょうか。」
大村 「あんまり、僕は賢いタイプの学生じゃなかったから頭より体で動きたいなぁと思ったんだよね。それで単純に世界地図見て誰に会いたいかなぁとかっていうのを趣味半分で考えて、ぽんぽんぽんって書いてみたんですよ。そしたら、あ これ世界一周だわ!ってなって・・。」
鮎川 「ぶっ飛んでいますね!それで具体的にはどんな方々に会おうとなさったんですか?」
大村 「世界中の同世代に会おうと。それ=世界中の大学を回るってことに繋がったんだよね。でも世界一周って名付けたのは結構後の方かな。たしか、じゃあどこ大学行こうってなってまた、世界地図と地球儀見つめて、相棒と話してて。こことあそこと、って挙げてっていたら世界中になっちゃっていて。(笑) だから、僕がじゃあ西回りでぐるーって言っちゃえばいいよね。って言いだしたんだよね。
だから世界一周が目的ってよりは、どうしたら世界中の同世代に会えるかなぁっていうのが目的だった感じだね。もちろん世界一周ってかっこいいみたいな考えは元々あったんだけどね。」
鮎川 「世界中の同世代に会うっていうことがメインな目的なんですね。非常にかっこいいです。」
大村 「ありがとう。笑」
鮎川 「でも、それっていうのはいつ頃から意識されたものなんですか?」
大村 「なんだろうなぁ、、夢っていうか・・。あ、僕元々友達が好きでさ。例えば小学校にいた時代も全校生徒と知り合いでいたかったみたいな。中学校に入学しても全校生徒から知られたかったみたいなところがあって、だんだん大きくなっていったときに世界中の同世代から知られたいみたいな風に思っちゃって、一度そう考えたら、よっしゃ!とことん友達作ってやるぞって思った感じかな。
世界一周の話だとどこ行ったら自分のこと知ってもらえるんだろうって考えたらまず、日本語学科のある大学に足が向いたね。ヒーローになれるよ。あんまり日本人来ないですからね、日ごろ。特にエジプトのカイロなんて滅多に日本人が訪れないじゃん?でも熱心な学生は多くて。だからむちゃくちゃもてたよ!!人気者。あんなにチヤホヤされたことはないよね。むちゃくちゃ現地学生に囲まれて・・。ヨーロッパ圏とかだとまぁ、日本人いるんですけどアフリカとかそういないから、日本人と話したいんだよ。先生もアフリカ人だし。やっと日本人と話せるってことでもう大変だったな!笑」
大村 「実は僕がやった活動って一期で終わりにしてないんですよ。今年で五期目かな?継続してやっていて。」
鮎川 「なぜですか?」
大村 「世界征服じゃないですけど、継続していくことで本当に世界中の大学を回ることができるんじゃないかなって思っているからだよ。僕は、友達っていう世界平和の輪を作りたいなって今は考えていて、だって人類皆が友達だったらテロとかって起きないはずでしょ?困ったときに助け合えたら素敵だしね。だから、継続してやってます。今は後輩にバトンタッチしながらだけど。
あと、僕は誰かの嫌味を言ったり蹴落としたり権力にすがって誰かを馬鹿にするっていうのが前々から許せなかったからそういうのがない世の中にするためにも友達を増やしたかったんだよね。縦のつながり横のつながりどんどん広げていけたら最高じゃないですか!!」
“英語”より大切な留学前に身に着ける べき“コミュ力”というツール
鮎川 「では、現地の大学生とコミュニケーションをとる時、どんな風にして話しかけていたんですか?アポ取りとか必要でした?それともなんか、もう気さくな感じで突撃しちゃえみたいな?」
大村 「いやそこは礼儀を守ったね(笑)事前に現地の大学の日本語学科の教員の方にアポはとったよ。一か国につき3大学くらい、ここ行こう!っていうリストを作って・・。その時は28か国くらいかな。今はもう50以上の区に行っているんだけど(社会人になっても活動は継続なさっている様子)。大学のサイトの教員紹介ってところでメアド調べて・・。授業参加させていただけます?とかインタビューしてもよろしいですか?って。でも、全く返事が来なかったんだよなぁ。3割くらいからしか。(笑)」
鮎川 「忙しいんですかね?怪しまれたとか・・?」
大村 「いやいや。まぁお忙しくてもメールの1通くらい確認はできるでしょ。多分、全くの知らない奴からの連絡なので迷惑メール扱いされたか、あとは結構日本の感覚だとあれですけど、メール(PC)に不慣れな教授とかもいらっしゃったよ。使い慣れていそうな欧米諸国の教授からの返事はあったんで。あくまでも学生に物事を教えることが仕事なので別に外とのコンタクト手段がメールじゃなくてもいいからね。だからメールも気づかないんでしょうね。実際に行ったら心底驚いた顔をしてて、え?なんで来たの?って。メールしたんだけどって言ってもキョトンとしていたりしてたね(笑)でも、そこのある意味サプライズでこいつまじかよ~クレイジ~って思わせて仲良くなれたのはあるね!だから次の日授業に招かれたりご飯に誘ってもらえたし。
学生の方は、僕は夢を聞いて回ったんですけど、僕のFBには夢ボードっていうのがあるんだけど、それのためにベンチに座っているはじめましての人に、
“Hey, What’s up!?”みたいにはなしかけて、こういうプロジェクトやっていて、んで僕にはこんなパッションがあって。だから夢を聞いてもいい?ってプレゼンしたんですよ。最初は、みんな完全にドン引き(笑)だってそもそも、話しかけるときには見栄え的にと思って美人かイケメンだったし・・。(協賛)企業からの受けもいいかなとか思ったし。でもね、同じことをね200人とかもっとかな?にね、聞き続けると体力的にも精神的にも疲れてくるよね。
なんでやってるの?とかゴールはなに?って。向こうから聞かれることまで同じ。英語はぶっちゃけむっちゃ上手くなったけど、色々とやばかったね。
でも、それをモチベーションに変える機会もあった。3か月前 に会って夢を聞いた子からメッセンジャー(Facebookのトークアプリ)で進捗どう?張り切ってやってる?とかって言われると嬉しかったね。未だに夢聞いたやつが日本に遊びに来てくれたりして、繋がれているからやってよかったってとっても思うよ。」
鮎川 「先程、英語のお話が少し出ましたけども、どうですか?世界一周だけじゃなくても留学にも通ずると思うんですが英語力って必須だと思いますか?あるに越したことはないっていうのはみんな分かっていると思うんですけれども・・。大村さんご自身の英語力は1週間はどのくらいでしたか?」
大村 「実際、合ったかもしれない。っていうのも一周したのは4年生の頃で、二年生の頃にアメリカへ留学してたからね。旅の出発時でTOEIC880点くらいはあったと思う。」
鮎川 「あ、じゃあ超重要ですね!!」
大村 「いや、大切だけどマストじゃないよ。TOEICとかは極める必要は全くないと感じていて。うーん700点もあれば十分。だってあんな単語とか絶対使わないので。話す分には。だから、コミュニケーションスキルの問題の方が大切だと思う。そっちを身につけましょう。」
コミュ力と食費
鮎川 「あーなるほど。じゃあ、大学生は筆記の英語よりも話す英語とか対人関係のノウハウを学んでおいた方がいいということでしょうか。」
大村 「ん~そうだね・・。僕が今まで50か国くらい回って心がけていることは、いかに現地の言葉で話すかということ。なるべく英語は使わないようにした。簡単でも例えばタイだったら、コップンカー(こんにちはの意)だし、中国だったらニーハオ(こんにちはの意)だしスペインだったらオラ(こんにちはの意)とかね?なぜかといえば、やっぱり現地では現地の言葉を話した方が相手はハッピーでいられるからさ。でもマスターなんてできないから、ごめん英語でいい?っていうのを現地語で聞いた。
相手は、いやなんで?現地語話せてるじゃんって言って聞く耳もたなかったんだけどそれすら僕にはわからないから・・。(笑) それでも印象はいいんよね相手からの。すごい頑張っているね!じゃあ今夜は俺がご飯おごるよ~みたいなことも言われたし、、それもあってご飯(食費)にはあまり困らなかった。いい思い出だわ。そのおかげで、エジプトで僕が大好きなコシャリにも出会うことができてさ。」
鮎川 「コシャリですか?」
大村 「大豆とスパゲッティとかをミックスして揚げた玉ねぎとトマトソースをかけた料理なんですけどむっちゃおいしいのよ。」
鮎川 「日本でも食べられますか?」
大村 「あんまりないね、お店は。でもこの間新宿の無地カフェで見たよ。まぁ、日本チックな味付けだけどね。ぜひ皆さんもエジプトに訪れてみてください。ってところかな。」
世界一周後の最大の変化『あなたはあなた』とは
鮎川 「それは、そうですね。早く食べてみたいです。ところで大村さんが世界一周してみて周辺から言われたこととか、ご自身にも変化っていうことはありましたか?」
大村「一番は、『人』を『人』と見ることになったということだよね。それまでの自分っていうのは何人ってくくりで見てた。例えば韓国人とかアメリカ人って風に見ちゃってた。」
鮎川「国籍ってことですか?」
大村「そうだね。全ての人を国関係なく、この人はこの人のカラーって見ることができるようになったことは大きいよね。日本人には特に大きいかなって思うんですけど、例えばイスラエルって危険だよねとか今であればフランスってやばいよね(取材当日はパリでISによるテロが起きた日の2日後)って場所とか全てを一括りに考えがちだなって思っていて。報道の在り方も含めてですけど。それってラベルなんだよね。俺は国籍って全く関係ない、、いやまぁ法律とか考えると全くってのはおかしいけど、、関係ないって考えているよ。今も君たちっていう人って会っている時は、日本人っていうのは一切考えてないからね。鮎川君、瀬沼君って見ることができてるよ。ここは見違えるように大きく変わったね。というか変えることができたね。僕の中のそれまでの価値観っていうのは世界に行くととにかくいろんな人がいるからなくなっちゃったんだよね。彼ら(世界の人々)って人の区別を宗教的に見るんだよ。だから、彼らとディスカッションするときも面白かったんだけどさ例えば、お前パレスチナ人だよね。危ないとかっていうのは一切なくて、それこそユダヤ教だよね。みたいな区別をしてた。俺らってあんまないじゃんそういう会話・・。良くも悪くもなんですけど・・。こっちから見たらタブーじゃないの?みたいな会話も多々あったよ。」
鮎川「え。はい、日本人は一切しないですね・・。」
大村「だよね。でも、彼らにはそれがアイデンティティなんだよ。国籍でなくて宗教が。だから同じドイツ人でも、地元聞くより何教?って。そこに根付くもの、、俺らに言う武士道とかそういうのが彼らの宗教なんだなって強く感じることができたね。国境って国ごとに定めてあるけどそれって人を通じてみるとほとんど意味がないものだなっ。華僑がいい例だよね。彼らの力強さは別格じゃないですか。」
鮎川「周辺からの評価では変化はありましたか?最初は、ゆとり世代が馬鹿にされて腹に立ったじゃないですか?それを覆せたかなぁっていう。」
大村「う~ん、それはもう一生言われ続けるんだって思ったね。それっていうのは、つまり、ゆとりは 使えないとかそういう意見ね。なんだろう、というか言いたいんだろうね。彼らにとっての逃げ道になるからね。言いたい奴は言わせとけって思えるように俺が変わっていったというのはあるかな。
でも、一理あるなっていう部分も勿論あって。なにもしてないような人っていつもいるじゃん?世代関係なく・・。」
鮎川「はい、僕らの学年にもいます。(笑)」
大村「そいつらのこと指しているのであればぐうの音も出ないよ。でもさ、なにもしてないように俺ら全体が見えるって言われたら反論するよね。それって適合なんじゃないかなって俺は感じてる。というのも、昔の人とは教育のシステムも社会の環境も変わっているじゃない。それに学生が合わせていくのは自然の流れじゃん。体罰反対とか唱えて旧式のシステム変えたのは親の世代だけどね。
でも、まぁとにかくそれが昔の方からすればサボってる怠けているっていう風にみられているんだろうね。サボってるように見えても最近の若者はパソコンを使って、頭を使えるから。行動って意味では劣る部分があるかもしれないけど、頭は動いているから。家でも仕事できるから我々は。時代によって働く姿勢も変わっているんだなって。だけど、そういうことに気が付けたのは帰国後。帰国前は俺のことしか考えてなかったから・・。」
インタビュー実施日:2015/11/17
インタビュー実施場所:明治大学駿河台キャンパス
【編集後記】
はじめまして!ライターの東洋大学2年の鮎川です。実は、僕は留学しない人間です。
行っても日本人で固まるだろうし、英語話せないしお金の無駄だって、そう考えていました。
留学する奴って変。なんて思う節もありました。才能の差だわって。
ところが、大村さんの話を聞いて留学したくてしたくてたまらなくなりました。
だって、損することはなにもないから。僕はまだ、やりたいことがよく見定まっていません。なんか意識高いことやっておけば就職に強いんじゃね?そう思ってこの記事も書きました。
大村さんは、こんな人間にこそ飛び立ってほしいって言ってくれていた気がします。
なにかしたいけどないから?
そう思ったら、留学っていうものを前向きに検討してみるべきなんじゃないでしょうか。
以上
文責:
鮎川 想
インタビュー:
鮎川 想(東洋大学2年)
川崎 ななこ(東洋大学2年)
田村 さき(東洋大学4年)
瀬沼 慶太(明治大学1年)