留学のすすめ.jp

Invitation to Study Abroad

Disseminating the Impact of Study Abroad
Inter-generational Knowledge Transfer

インタビュー

チャンスがあるのなら活用しない手はない

淺間正通氏

2018年12月13日  8ページビュー
イギリス   語学学校  

「なぜ留学しようと思ったのですか?留学にいたる経緯は?」
高校時代に出会った産休代理の英語の先生(男性)の影響が大でした。英語アレルギーがあった私でしたが、先生のイギリス留学(放浪)体験記に惹かれ、とてつもなく動機付けられました。
 
「留学準備で苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
留学とは言え、学びは現地スクールでの1か月の語学研修のみで、あとは放浪生活ですから、この「遊学」に対する家族からの理解が得られず、大半の資金を自ら工面する羽目になってしまいました。東京の友人宅に転がり込み、昼のアルバイト、そして夜勤のアルバイトを3つも4つもかけもちし、3カ月で60万円もためた日々が懐かしいです。当時は格安航空券という概念がなかったため、60万円が「ヨーロッパ往復航空券代+当面の生活費」の目安でした。
 
「留学中に工夫したことは何ですか?」
英語に関しては、とりわけスコットランドでその特殊な英語体系に苦労しました。“Sorry, I didn’t quite catch you.”を連発するたび、しまいには煩わしがられることが多く、落ち込んで英語を話すのを厭うようになりました。しかし、B&B(イギリス版民宿、Bed & Breakfast)で出会った家族連れの同世代の女の子と意気投合し、こちらの下手な英語に真摯に耳を傾けてくれたことから、正しい文法や発音よりも堂々とした態度で相手に伝えようとする気持ちが大切である点に気づきました。英語を話すことへの動機付けが強まり、朝起きてからの動作を一人英語で口にする工夫をしたりしました。ベッドから起き上がると、“Oh, what shall I do first?”“I have to brush my teeth.”、そして洗面所へ向かえば鏡に向かって“You are very cool today!”といった具合に(笑)。英語思考にもってゆくのに役立ちました。今でも時折やってます。
 
「留学前に不安だったことは?また、実際に留学に行ったらどうでしたか?」
英語に対する漠然とした不安と十分な資金を持っていなかったため金銭的な不安がありました。しかしせっかくの海外、「誰も私など注目していない!」と割り切って積極的になると、色々な場で友達ができ、結果的に色々なところに転がり込んでお世話になりました。
言葉も自由に操れず、様々な場面で失敗しました。そのひとつ、イングランド南部で家庭料理でもてなしてくれた女性に、和英辞典で調べて“homely”と投げかけて大層喜ばれてハグされたかと思えば、湖水地方のB&Bで出会ったアメリカ人女子大生に対してタイムリーに使った“homely”に激憤され、再び言語コンプレックスに陥ってしまいました。当時は英国では「家庭的な」、米国では「容姿の平凡な」とまったく異なる意味で受け止められていたのです。これが、逆に研究意欲の始発点であったように思います。英国の伝統であるグランドツアーの意味の一端は、このような異文化間摩擦での学びかもしれません。ノブレスオブリージュ(nobles oblige)を得るための!
 
「留学で得たものは何ですか?」
無二の友もそうですが、やはり言語を超えた『共感の普遍性』という学びでしょうか。心持ちの伝播ともいうべきか、格好をつけずに素朴な自分をさらすと必ず相手の笑顔が引き出せるという確信です。昨年もレバノンに出張し、アラビア語世界の路地を歩いて、英語が通じないからと日本語でやりとりしたら、逆にとても親しみをもって手助けしてくれました。困っている人間に手を差し伸べるのに、言葉は二の次なのです。
 
「留学が帰国後のキャリアや人生にどう影響しましたか?」
多様な価値観に触れることで物事の本質に迫るときに多様な見方をするという習慣が身に付きました。海外旅行でトラブルに遭遇した日本人観光旅行者が、帰国後、「イタリア人は...」「アメリカ人は...」「インド人は...」と言葉巧みにネガティブな異文化ステレオタイプで吹聴するのですが、実に滑稽に見えてしまいます。数日間の旅での1不快事例が、いともたやすく国民性への評価に変質してしまうのですから。脱ステレオタイプ的な視点の重要性を与えてくれた遊学経験は、現在の専門である異文化コミュニケーション論及び情報社会論の研究姿勢を大きく方向付けてくれたように思います。
 
「今後留学を目指す学生へアドバイスをください」
私の場合は遊学でしたが、正規の留学という経験は、異質な価値との接触だらけであることから、後々自らのアイデンティティへの深い問いかけをしてくれとても貴重です。そういった意味では将来を築くための「自分探しの格好の機会」でもあります。そんなチャンスがあるのなら活用しない手はないと思うのです。若き日の投資は必ず自らに還元されてくるものですから。

インタビュー実施日:2018/06/22

インタビューアーからのコメント

「印象に残った言葉」
トラブルに出会う度にわくわくしてつい楽しんでしまうと語った先生の言葉が印象的だった。日本に生活している今、私自身トラブルを回避して生活することを自然と望み行っているが、巻き込まれるということはその物事の本質を見極め知るチャンスだということを学んだ。

「お話を聞いて、感じたこと、学んだこと」
英語を話せないというコンプレックスを捨て相手に堂々と気持ちを伝えることがコミュニケーションにおいて必要不可欠と感じた。どんな国や宗教のひとでも、流ちょうにその国の言葉が話せなくても、伝えるという思いがその人との関係をよりよくすることが出来るのだと感じた。どうしても私は話す前に頭の中で正しい文法かどうか自信がなくて堂々と話せないが、これからは100%全て伝わらなくても、同じ感情を共有できるように伝える姿勢を大切にしていきたいと思う。

インタビューアー:鷺英里加 (ライフデザイン学部 生活支援学科 2学年)
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