インタビュー
日本人だけの考え方や価値観で正解をつけるのはよくない
大志田 美智子氏
2018年2月20日 767ページビュー 中国 大学「なぜ留学しようと思ったのですか?留学にいたる経緯は?」
四川省出身の友人から四川省の文化などについてよく話を聞いていたため、もともとその地域に興味がありました。またちょうど大学で四川省に行くコースの短期留学の募集があり、応募して留学することになりました。
「留学準備で苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
四川省に何人か友人がおり、その友人を頼りにしたため、他の留学生とは違いあまり不安に思うことも多くはなかったと思います。友人に頼りつつも、事前にステイ先の環境(日本語、英語は通じるか、食事は合いそうか、水は飲めるか、ネットは通るか)等については事前に情報収集するよう努めました。
「留学中に苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
苦労したことはいくつかありましたが事前に下調べして良かったと思いました。
・ネットが遮断されたためLINEやGmailなど普段日本で使っている連絡手段が全く使えませんでした。事前に調べて知っていたため、LINEに代わるウィーチャットというものに自分と親も入ったため連絡を取ることができました。
・食事が合わなかったことは結構大変でした。四川省はほとんどのご飯に山椒の辛さが入っていて、お腹を壊してしまいました。また四川省の油も自分には合わなかったと思います。水道水は茶色い水が出るところもあり飲めなかったため購入するようにしていました。
・トイレがすごく汚かったことです。水に溶ける紙を作る技術が進歩していない四川省は、使用した紙をゴミ箱に捨てるのみであったので、トイレ環境はすごく悪かったです。
・インフラが全く整っていなかったことも大変でした。四川省は30階以上の高層マンションが立ち並ぶ一方で、交通機関の整備は全く整っておらず、渋滞の連続にルールの曖昧な車道が多く事故が多発していました。車の種類もベンツなどの外車から人力車にいたるまで様々で車道は大混乱でした。
「留学前に不安だったことは?また、実際に留学に行ったら、どうでしたか?」
言葉が通じるかが一番不安でした。実際行ってみて、英語は全く通じなくて苦労しましたが、現地の人が通訳してくれたり、友人がそばにいてくれたため、なんとやっていけました。
「留学で得たものは何ですか?」
留学で学んだことは日本の素晴らしさです。最初は世界のことをいろいろ学ぼうと思って行った留学でしたが、実際留学を終えてみて、海外だけではなく日本の良さを知ることができました。内からではわからない外から見た日本の良さについて気づくことができた留学になりました。
「留学が帰国後のキャリアや人生にどう影響しましたか?」
今は教育系の職に就いています。留学を経験して日本では見ることのない、様々な人種、文化、生育歴の人々がいて、日本人だけの考え方や価値観で正解をつけるのは良くないと思うようになりました。
また、人としての器も大きくなったように思います。様々な子どもたちの実情を受け入れられるようになったのは留学を経験したからこそだと思います。
「今後留学を目指す学生へアドバイスをください」
学生中に、いろんなものを実際に自分の足で行って、見て、感じないとわからないものばかり!いってらっしゃい!
インタビュー実施日:2017/07/09
インタビューアーからのコメント
「印象に残った言葉」
「日本人だけの考え方や価値観で正解をつけるのはよくない」という言葉が一番印象的だった。やはり日本国内で、日本語が通じる日本人同士の関わりだけで、見えるものはかなり狭いように思った。
いい意味で言えば伝統というものであるかもしれない場合もあれば、悪い意味で言えば古い価値観にとらわれているととれることが身の回りには多く存在していると思う。自分たちなりの考え方を持つことも大切だとは思うが、それ以上に視野を広げることの大切さを感じた。
「お話を聞いて、感じたこと、学んだこと」
留学では様々な価値観や考え方に触れることが出来たというお話を聞き、それが現に働く上でためになっているということだった。留学をする前と後でモノの見方が変わったり、寛容さも増したということだったが、この変化は当初の留学の目的以上に収穫がたくさんあり充実した留学であったことが伺えた。
そのため、今回のインタビュー、授業のゲストピーカーのお話からもわかるように、留学は行ってみなければわからないということを改めて思った。留学の経験が直接キャリアに影響を与えたという方もいれば、人間的に成長でき働く上での心構えとなっている方もいる。研究、文化交流、語学習得等、目的に違いはあっても目的プラスアルファーで得るものがあると思った。
インタビューアー:欠畑雅(東洋大学)