留学のすすめ.jp

Invitation to Study Abroad

Disseminating the Impact of Study Abroad
Inter-generational Knowledge Transfer

インタビュー

異なった考え方を持つ人々と生活することは、自分の生き方、考え方を大きく広げてくれる。

坂口哲啓氏

2018年2月20日  56ページビュー
3年以上   フランス   大学   語学学校  

「なぜ留学しようと思ったのですか?留学にいたる経緯は?」
 大学院時に19世紀のフランス文学について研究しており、その研究をより深めたいと思ったから。指導教授に相談をして、パリ第8大学の先生に紹介状を書いてもらい、自分からもその先生に手紙を出して受け入れてもらえるよう頼み、その結果受け入れが決まり、留学に至った。
 
「留学準備で苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
 フランスに長期滞在するためのビザを得るため、必要書類を揃えたり、何度も在日フランス大使館に行ったりしたのが大変だった。工夫したことは、事前に大使館の職員の方によく話を聞いて、留学に必要な書類やビザの申請の仕方を詳しく教えていただいたこと。また、すでに留学している大学院の先輩や指導教授にも留学にあたっての注意点などを教えていただいたそうだ。
 
「留学中に苦労したこと、工夫したことは何ですか?」
 言葉で苦労することがあった。下宿先が高校教師をやっているフランス人宅であり、いろいろ教えてもらった。
 
「留学前に不安だったことは?また、実際に留学に行ったら、どうでしたか?」
 何と言っても、言葉が1番心配であった。大学、大学院、あるいは語学学校にも通って会話の訓練もしていたが、フランス人と支障なくコミュニケーションができるかどうか不安だったそうだ。また、現地での生活に自分が馴染めるかどうかも気がかりであったそうだ。
 実際にフランスに行ってからは、言葉で苦労することもあったが、その場の生活に馴染むことは意外と簡単だったという。先ほども書いたように下宿先の高校教師をしているフランス人から様々なことを教えてもらえたので、日本と異なる生活習慣やフランス人のものの見方、考え方の特徴などを知ることができた、とのことだ。
 
「留学で得たものは何ですか?」
 これはもう計り知れないほど大きいものを得られたそうだ。全てをまとめ上げるのは難しいが、あえて幾つかあげるとすれば
1、 フランス人は自分の生き方、考え方がはっきりしており、それを明確に主張する。
2、 フランス人は周りの目を気にせず、自分のやりたいことは臆せずにやる。
3、 個が優先され、まず自分がどう思うか、何をしたいかが重要であり、集団に合わせることはしない。
4、 そのようなことが周囲の人々との軋轢を生んでしまうこともあるが、何か問題が起きた時はうやむやにせず、お互いの主張を出し合って解決策を探る。自分と違う主張を認め、きちんと向き合う。
5、 以上のようなフランス人の特質に気づくと、それに比べて日本人や日本のあり方の特徴が見えてくる。
6、 フランスと日本、どちらがいい悪いではなく、私たちの住む日本はやはり集団優先の社会で、周囲の目や雰囲気をまず重んじて、個が後回しになってしまっていると感じた。
7、 フランス人は自我をストレートに出すので、人間関係ですれ違いや衝突が多い。自我の衝突で人間関係が壊れても、自分の意思を貫いているので、不満は残らない。
孤独になっても、それを自然なこととして受け入れる精神的な強さを持っている。
8、 ただ、こうした自我の強い主張の中で3年半暮らして、正直かなり疲れた
ことは事実である、ということだ。日本的なある種あいまいな人間関係—問題があっても先送りして結論を急いで出そうとしないーにもそれなりの良さがあると感じたそうだ。
9、 結局、留学を通じて、自分というものを深く見直すことができたことが最
大の収穫であったと坂口先生はおっしゃった。
10、フランスの風土の穏やかさ、街並みの整然とした美しさ、伝統を大切に
しながら、新しいものも創造していく精神の柔軟さにも感動した、とのことだ。
 
「留学が帰国後のキャリアや人生にどう影響しましたか?」
 大学教員として、専門の研究を生かした職に就けたので留学が大いに役立ったことは間違いない。
 
「今後留学を目指す学生へアドバイスをください」
 強く留学を勧める、とおっしゃった。社会に出る前に、異なった文化・社会に触れ、異なった考え方を持つ人々と生活することは、自分の生き方、考え方を大きく広げてくれる。人生の可能性と選択肢が増え、主体的に生きるパワーが身につく。色々な苦労もあるが、それがまた人間の幅を広げてくれる。ぜひ積極的にチャレンジしてほしいとおっしゃっていた。

インタビューアーからのコメント

「印象に残った言葉」
 『異なった考え方を持つ人々と生活することは、自分の生き方、考え方を大きく広げてくれる。人生の可能性と選択肢が増え、主体的に生きるパワーが身につく。色々な苦労もあるが、それがまた人間の幅を広げてくれる。』という言葉が印象に残った。大学入学で様々な性格の子と友達にはなったが、海外に行ったら、日本にはいないような豪快な性格の子や、かなりきつめな性格・考え方の人とも接することができ、そうだとしたら、やはり視野が広がるのだろうか、と考えた。
 また、色々な苦労もあるが、それがまた人間の幅を広げてくれる、という言葉が特に印象に残った。自分はできるだけ苦労は避けたいと考えるが、この言葉を聞いてなんだか考え方が少し変わった。苦労を乗り越えたら自分が成長できる、そう意気込んで行動していこうと思った。

「お話を聞いて、感じたこと、学んだこと」
 今回メールでのインタビューとさせていただきましたが、個人的にお話を先生から聞くことは初めてでした。坂口先生もとても丁寧にお答えくださり、先生のお話を読んで自分では考えたこともなかったことがたくさんあり、興味深かったです。異国の習慣や日本人との性格の違いを見つけ、坂口先生はそこから日本には日本なりの良さがあるともおっしゃっていました。そのように日本の良い部分を再発見できるのも面白いなと感じました。
 留学に行くにあたって準備のことはあまり考えてこなかったのですが、今回インタビューをして、まず準備もとても大変なのだな、と学びました。坂口先生が自分で直接先生に手紙を書いたり、大使館の職員の方々・先輩・先生方にお話を聞きに行ったり、それぐらいの熱意を持って行動しなければな、と思いました。

インタビューアー:落合 苑子(東洋大学)