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Invitation to Study Abroad

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Inter-generational Knowledge Transfer

インタビュー

日本を代表する立場 外から見る日本

中村 晃氏

2017年10月20日  1,444ページビュー
アメリカ合衆国   大学   大学院(修士)  

インタビューゲスト:中村 晃 さん (外務省総合外交政策局海上安全保障政策室)

私自身政治家を目指しており、国の中枢で働いている方の留学経験を伺いたいと思い、外交官としてバングラディシュ、エチオピアなどで活躍されている中村さんに、入省後のシラキュース大学(Syracuse University)Maxwell行政大学院への留学や、赴任国での経験を伺いました。

 

(学生)アメリカ留学までの経緯、外務省に入省した理由などをお聞かせください。もともと英語は得意だったのですか?

英語は高校から好きで、東京外国語大学では英語を専攻していました。大学では野球をして
いて、部活の先輩も外務省に入省されていたことや、漠然と国のために働きたいという気持ちもあり、外務省に入省しました。
大学中に留学をしたかったのですが、時間的、財政的に厳しかったため、入省後の留学となりました。入省後、各言語への割り当て(英語でもアメリカ、イギリスなどに分かれる)があり、その1,2年後にその言語の国へ留学することになります。

 
(学生)大学院でのアカデミックなお話をお聞かせください。

マンハッタンから車で4時間、ナイアガラの近くにある、ニューヨーク州のシラキュース大学Maxwell行政大学院で、国際関係論と行政論を学びました。
国際関係論は大学時代から興味を持ち、ゼミにも入っていました。また、シラキュース大学は行政学で有名(全米1位と言われている)なうえ、行政官としてのスキルを身に着けたいということで専攻しました。
授業は1つのクラスでの課題も多く、100~200ページを読んで来いといったものであり、
特に英語でのディベートが大変でした。留学前は、外務省で働きながら、TOEFLの点数を伸ばし、願書のパーソナルエッセイの書き方を伸ばしたりしました。入省後も週1回の英語の授業がありますが、留学先で苦労して一番成長しました。

 
(学生)生活面での苦労などをお聞かせください。

留学前の海外経験は、大学2年で初めてアメリカとカナダを旅行、卒業旅行でアメリカに行きましたが、どれも1~2週間の滞在で、長期滞在は留学が初めてでした。
アメリカなので生活面の違和感はあまりなかったですが、外務省でも学費の一部自己負担があり、財政的に大変でした。
家は学生寮ではなくクラスメートとルームシェアをしていました。大学中心の田舎町なので、留学生同士も現地の人とも、近い距離で交流ができました。
アメリカの大学院ではインターンをする学生が多く、1学期だけワシントンのシンクタンクにインターンをしました。また長期休暇を使い、車で全土を巡ったりしました。

 
(学生)留学で学んだことはなんですか?また、反省点はありますか?

日本で入ってくるアメリカのニュースと、ホンモノのアメリカは大きく違いました。アメリカを知ると同時に、日本との比較対象を得たことで、今まで内側からみてきた日本が外から見るとどう見えるのか知ることができました。
アメリカの多様性には強い印象を受けました。
アメリカの授業はディベート、ディスカッションがメインで、発言しないと「何を考えているの?なんで授業にいるの?」と思われてしまいます。
また、学生であっても、日本人の観点から意見を出すことが求められ、日本人代表としているのだと意識しました。
語学力も大事ですが、話の中身がとても大事で、様々な教養を身に着けていなければなりません。
反省点というより心残りとしては、行政学の授業では社会経験を4、5年積んでいる人が多かったので、実体験に基づいた議論ができなかったことです。

 
(学生)留学の魅力は何ですか?また、現在生かされていることはなんですか?

様々な背景を持った人に出会え、自分の知らない世界を知れることだと思います。

語学力も伸びましたが、会議で以前より積極的な発言ができるようになったと思います。
また、留学先や出張先のことを知っていることは有利です。経験に基づきその国を見る、日本を見る、日本のことを発信できるといったことができます。
“違い”を受け入れる力が身に付き、いろんなことに驚かなくなります。
 

(学生)現在のお仕事についてお聞かせください。

研修生として1年、アメリカに2年、バングラディシュに2年と2か月、エチオピア2年と10ヶ月、東京に戻り1年になります。
通訳の仕事(外務省の外務大臣政務官や海外要人の会談)が週1くらいでありますが、通訳は会談の成否を左右してしまう立場なので、言葉の大切さを強く感じます。
2国間での共同文章を出す際も、日本語と英語の一言一句に、言葉の意味を熟考し、全体像をイメージしたうえで、メッセージを打ち出します。
1対1の担当官会談でも、相手の立場を踏まえつつ、日本の考えを伝え、説得や交渉を行います。
言葉の大切さに加え、人間としての個と個の関係なので、相手を説得できるいい関係にあれるのかが求められます。

 
(学生)外交官として赴任した、バングラディシュ、エチオピアについてお聞かせください。

バングラディシュはユニクロなどの日本企業も多く進出しており、熱気がありました。
貧困国の1つですが、ノーベル平和賞受賞者のモハマドユヌス氏というマイクロファイナンス(本来銀行から融資されない田舎の女性や農家などの救済のため小口の融資をする)のグラミン銀行を作った人物がいたこともあり、スタディーツアーで、日本の大学生も多く来ていました。貧しさ、成長スピード、暑さ、世界一の人口密度等、あらゆる意味で強烈な印象を受けました。

エチオピアはアフリカで唯一独立を保った国であり、プライドの高い国です。アフリカ連合の本部があるので外交団が多く集まります。アフリカ人同士で一致団結しアフリカのことを発信、国際社会の意思決定にかかわってこうとする際に重要な役割を果たす国です。

印象に残った会議は、TICAD(アフリカ開発会議)VIという会議で、準備段階で、アフリカ連合の本部に通ったり、カメルーン、ジブチ、ガンビア、ケニア等に出張したりしました。

ミャンマーに総理、ラオスに皇太子殿下が来られた際に応援で出張し、総理のエチオピア訪問を受け入れる等いい経験をしました。
外務省には6000人職員いますが、いろんな人がいて、一緒に仕事をすると良い刺激をもらえます。

インタビューアーからのコメント

外務省で外交官のお話を聞けるということは非常に大きく貴重な経験となりました。私は英語が苦手なので不安に思っていましたが、お話を聞き、自分の夢を再考し、「語学は焦っても仕方ない、専門知識や幅広い教養を身に着けることを優先しよう。」という大学での学びのスタンスを発見できました。まずは中身を充実させ、後々それを伝えるツールである語学をものにしていこうと思います。そのため、大学では授業だけでなく、サークルや様々なイベント、ドイツへの短期留学に参加し、世界を学んでいこうと思います。

インタビューアー:濱田祥平(東北大学法学部法学科1年)
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