留学のすすめ.jp

Invitation to Study Abroad

Disseminating the Impact of Study Abroad
Inter-generational Knowledge Transfer

インタビュー

東北と世界をつなぐ旗振り役に!

菅原健佑氏

2016年8月30日  71ページビュー
アメリカ合衆国  

わたしは自分と同じ東北大学法学部の卒業生で、アメリカのカルフォルニア大学デイヴィス校に東北大学の協定に基づいて交換留学をしていた菅原健佑さんにインタビューをしました。
 
――――はじめに、菅原さんはなぜ留学をしようと思ったのですか
もともと海外の文化や国際交流に興味があり、2年生の夏にSAP(東北大学の短期海外研修プログラム)に参加し、ハワイに行きました。新しい世界を体感し、楽しい思い出となったので、漠然と長期の留学にも行ってみたいと思うようになりました。
これとは別に法学部で交渉演習という実践的な仲裁や交渉を学ぶゼミに所属していたのですが、毎年11月末に全国から大学が集まって凌ぎを削る「大学対抗交渉コンペティション」という大会があり、さらに英語交渉部門があります。その英語交渉の大会に2年生の秋、参加をしました。対戦相手は京都大学で、帰国子女ばかりが集うチームに完敗をしてしまったんです。それが本当に悔しくて…。英語を話せるようになってリベンジをしたいと思い、交換留学を決めました。
 
――――留学先ではどのような経験をしましたか
現地で偶然住むことになったシェアハウスが留学生活の中心でした。アジア系・ヨーロッパ系のアメリカ人、ドイツ人と共にシェアハウスをし、価値観の違いから口論になることも多かったのですが、日本人どうしの口論のように後に尾を引かないというワールドスタンダードを知りました。口論をした5分後には何事もなかったかのように一緒に食事に行くとか。また、友達との会話においても何か説得しようものなら常にロジカルに話すことが要求され、そういった能力が身につきました。
 
◎ここで、菅原さんがシェアハウスのメンバーと打ち解けるきっかけとなった、留学当初の頃のエピソードを紹介したいと思います。
当時、シェアハウス内の衛生状態は最悪でハエやアリが大量発生していたそうです。菅原さんは不快に感じ何とか改善しようと呼びかけていました。しかしルームメイトは全く気にしません。そこで即席のハエ取り器を作り、10匹以上取ることができたら各個部屋にも設置するという話を持ち掛けました。実際にやってみると上手くいき、ここでルームメイトたちは「なんだこいつやるじゃないか!」と、周りから見直されるきっかけになりました。菅原さんにとっては、今振り返るとちょっとしたことだけれど、とても大きな出来事だったそうです。(このことは後の話で出てくるリーダーシップにもつながっています。)
 
――――学業の面ではどうでしたか
授業では留学生向けのものではなく、政治学を中心に現地学生と同様の授業をとりました。自分から手を挙げ発言をすることが基本となる授業で、課題の量も日本での比じゃないくらいに多かったのでとても苦労をしました。24 hours study roomにもう何回泊まったかわかりません。
またリーダーシップという授業をとったのですが、これが自分にとって大きな成長へのきっかけでしたね。ひょんなことからリーダーになり、3人1組で個性の強い2人のアメリカ人の女の子をまとめなければなりませんでした。取り組んだテーマは、“留学生の友人づくり”についての問題です。カルフォルニア大学では、留学生の交流の場としてさまざまなイベントが行われていますが、実際こういったイベントでの出会いは一回限りの関係性となってしまうことが多いです。このテーマと取り組みが大学側にも取り上げられて、実現化もしました。何より、まさに個性のぶつかり合いの中で、自分がリーダーとなってまとめるということを成し遂げたことで自信がつきました。そして多様性が尊重されるアメリカで、いろいろなあり方があって良い、“フツウ”と違って良いんだということを学びました。たとえマイノリティの立場にあるとしても、正しいことをロジカルに相手に伝えれば受け入れられます。
 
――――英語の勉強についてはどのようにしていましたか
 特に発音の矯正に力を入れていました。ルームメイトに自分が変な発音をしたらすぐに言ってもらうようにお願いしました。はじめはすべてが違うと言われショックでした。でも、変なプライドは捨てて、間違いを恐れずに学ぶ姿勢で取り組むようにしました。このことは今、そしてこれからのキャリアにもつながっていると思います。前のめりで学ぶ姿勢です!
 
――――今後の目標は
 近い目標と将来的な目標があります。近い目標は交渉の世界大会で世界No.1を目指したいと考えています。実は帰国後の4年生時、交渉の大会でなんと京都大学と再戦を果たし、結果的にリベンジを果たしたんです!本当にうれしかったです。留学のひとつのきっかけでしたが、こういったかたちで成果としてもあらわれてくれて。英語チームは日本一になり、スイスでの世界大会に今年出場します。ここで東北大としての世界No.1を目指しています!
 長期の目標は“東北と世界をつなぐ旗繰り役になる”ことです。3.11の震災後、父の実家があり幼い頃足繁く通った 岩手県・陸前高田は壊滅的な被害を受けました。幼い頃に見たあの美しい松原が今はもう跡形も無くなっている。その光景を目の当たりにした時、直感的に自分が東北と世界を結び付けること、良さを発信することでできることがあるんじゃないかと思いました。今はまだ志半ばですが、将来的に自分を育んでくれた東北に大きな恩返しをしたいと思っています。
 
――――最後に法学部で留学を希望する学生へ一言お願いします
 法学部ではあまり留学は一般的ではないですよね。物理的にも精神的にも海外を遠いものと捉えて、どうしても周りだけで完結してしまう部分があります。
実は私は留学前は法律の勉強がおもしろいとあまり思えていませんでした。留学したことで海外から見た世界の日本のポジションを把握でき、実際の社会を知らないから法律の勉強が面白く感じられなかったんだと気づきました。法律や政治を学ぶうえでリアルな社会を見ることはとても大切です!ぜひ“前のめり”になって、留学に限らずボランティアやアルバイトなどさまざまなことにチャレンジしてください!

インタビューアーからのコメント

今回、同じ学部の先輩である菅原健佑さんにインタビューをして、エラーを恐れず“前のめり”に学ぶ姿勢というものは、保守的で安全志向に流れがちな今のわたし自身にとって、大きく背中を押してくれる一言でした。これからの自分の将来を見据えていくうえでとても参考になるお話でした。具体的に何の授業をとってどのような学びをし、そこから何を得たのかや、シェアハウスでの生活まで詳しいことを聞くことができ、留学生活に対するイメージをつかむこともできました。また法学部での学びでは、確かに社会に目を向けることを忘れがちな部分があります。法律や政治は机上のものではなく、わたしたちの実生活・実社会と密接につながっているものです。そして社会をより良くしていくものでもあります。外からの視点を養うという点で法学部生としての留学は、その後の学びにつながるものがおおいにあると感じました。

インタビューアー:佐藤玖瑠実 (東北大学 法学部 法学科 1年)