留学のすすめ.jp

Invitation to Study Abroad

Disseminating the Impact of Study Abroad
Inter-generational Knowledge Transfer

インタビュー

フィンランドと日本の歯科での国際交流で活躍している先生

渡部 芳彦氏

2016年8月30日  95ページビュー
1年以上   フィンランド  

[インタビューゲスト]  渡部 芳彦 さん
(東北福祉大学 総合マネジメント学部 産業福祉マネジメント学科 准教授)
 
自身のフィンランドへの留学を経て、フィンランド型の歯科医療や福祉を紹介したり、学生や歯科衛生士などのフィンランドへの留学や研修などを支援することに努めている東北福祉大学准教授の渡部芳彦さんにお話を伺いました。
 
(学生)―なぜフィンランドに留学されたのですか?
大学院を出た後、東北福祉大学感性福祉研究所の研究員だったときに、仙台市とフィンランドが協力した「フィンランド健康福祉センタープロジェクト」が本格的に始まりました。そのプロジェクトの中で福祉大は高齢者施設でフィンランド型の福祉を展開するために、大学から何人かの教員や関連法人の職員がフィンランドに派遣することとなり、そして私も現地に滞在する機会をいただきました。私はその頃、トゥルク大学歯学部のペンティ・アラネン先生の地域歯科学(community dentistry)の論文を読み、その論文にとても興味を持っていたので、大使館などの関係者を通じて連絡を取っていただき、その後、フィンランドのトゥルク大学に通算1年間留学することとなりました。
 
(学生)―具体的にフィンランドでどういうことを学びましたか?
ペンティ・アラネン先生のもとで地域歯科学を学びました。日本の歯科医師の9割は開業医だけれど、フィンランドは50%が開業医で、50%は地域の保健センターなどの公的機関で働いています。フィンランドの保健センターでは検診や予防、保健指導だけではなく、歯科治療も行うので、日本とは仕組みが大きく異なっています。そういう仕組みの違いが、どういう風に実際の歯科医療のあり方に違いをもたらすのかを知りたいと思ったのがひとつです。もう一つは、元々フィンランドはキシリトールやフッ素などから子供の虫歯予防の先進国のイメージがありますが、私は高齢者歯科医療に興味があり、高齢者の口のケアはフィンランドではどうなっているのかを知りたいと思い、実際にフィンランドの各地を訪ねて調べたりしました。
 
(学生)―留学に関連した印象深かった出来事は?
いろんな人のつながりなのかな、私がちょうどペンティ・アラネン先生の所へ向かう計画を立てていたときに、大学院時代に在籍していた東北大学の加齢歯科の医局に用事があって行ったら、近々仙台で開催される学会にペンティ・アラネン先生を招くことが決められていました。そして留学前に、仙台でアラネン先生にお会いすることができました。アラネン先生を招くことを推薦したのは岡山大学の先生であり、これは全く予期しない出来事でした。また、留学中に、大学院時代に学会でよくお会いしていた徳島大学の先生が、アラネン先生を尋ねてトゥルク大学に来たことがありました。私はアラネン先生に頼まれてその先生を駅までお迎えしたのですが、その先生は大変驚かれていました。この出会いがきっかけとなって、現在に至るまで徳島大学歯学部との研究や教育分野での継続的な関係が構築できました。もう一つは、私がフィンランドに行く直前に、仙台市青葉区に建てられた「仙台フィンランド健康福祉センター・研究開発館」の初代館長さんが、フィンランドから来られて着任しました。その方は、かつてトゥルク大学でアラネン先生のもとでも学んだ元歯科医師の女性でした。彼女は任期の2年間仙台に住み、その後フィンランドに戻りましたが、当時もそしてその後、その方がある自治体の副市長やフィンランドの社会保健省に移った後も、機会あるごとに仙台やフィンランドで親しくお会いしています。このような、留学に関連した様々な人たちとの出会いが印象深い出来事です。
 
(学生)―フィンランドに留学した後自分の中でどんなことが変わりましたか?
いくつかありますが、仕事に対する向き合い方がその一つです。端的に言えば、フィンランド人はほとんど残業をしません。日本は9時から5時までが勤務時間ですが、向こうだと8時から4時で、4時になるとみんな帰宅します。遅くまで残っている大学院生でも、せいぜい7時ぐらいまででした。仕事は仕事、家庭は家庭というように割り切っていて、そうは言っても研究論文はたくさん出ています。その辺は働き方の問題なんだなって思いました。あとは、「日本も捨てたもんじゃない」っていうことかな、海外に行くと日本のことがいろいろと見えてきます。例えば日本の高齢者介護とか。フィンランドなどの北欧型福祉は先進的なイメージがあるけれど、実際に見ると、この部分は日本のほうがきめ細かいなとか、進んでいるんじゃないかっていうことがいくつもあって、そのような経験を通して、日本を外から公正な視点でじっくり見つめることができるようになった気がします。
 
(学生)―未来へのアクションについて詳しく説明お願いします。
留学の経験で得た人脈を基に、その後は他の人の世界を広げるサポートをしています。具体的には、日本の歯科衛生士など保健医療福祉関係者を毎年夏にフィンランドに連れて行き、同業者の働きを見てもらうというツアー(研修旅行)を継続して催行しています。また、フィンンランドの歯科衛生士学校の学生の日本滞在や、教員、歯科医療関係者などの交流を推進しています。気づけばそのような役割を通して、自分の世界が更に広がり続けています。

インタビューアーからのコメント

●印象に残った世界とつながるキーワード
・国境を越えてお互いに力を貸すことで自然に自分だけのネットワークができる
・留学して初めて、異国だけでなく日本についても自分が気づかなかったことに気付ける。
●お話を聞いて、感じた事、気づいたこと
お話を聞いて一番感じたことは、自分が興味を持ったことを追求することが大切だということです。自分も日本だけでなく海外にも新たなつながりを作り、協力して社会に貢献したいと思いました。そのためには、日々の勉強から自分が興味を持つ分野を探していかなければならないと感じました。

インタビューアー:梶 恭大 (東北大学 歯学部 歯学科 1年)

インタビューアーからのコメント

インタビュアー② 木内 哲也 (東北大学 歯学部 歯学科 1年)
●印象に残った世界とつながるキーワード
・海外に行くと日本の良さが見えてくる
・人とのつながり
●お話を聞いて、感じた事、気づいたこと
渡部先生は自発的に留学しようとしたのではなく、周りの人に薦められることがきっかけで留学をすることになったと仰っていて、重要なのは単純に海外に憧れを抱く事ではなく具体的に留学先で何を学びたいのか、そのためにはどう行動するのかを、研究をしたくて留学する場合には前もって考える必要があると思いました。
また、留学先の研究者の方が来日なさった際に先生はその方と再会なさった話を聞いて、海外で同じ分野の研究をなさっている人と互いに敬意をもって切磋琢磨できるのは羨ましいと思いました。日本人にはない価値観、海外にはない日本人の価値観を共有できるのはより研究の発展に繋がっていくと思います。

インタビュアー③ 小峰 英也 (東北大学 歯学部 歯学科 1年)
●印象に残った世界とつながるキーワード
・日本も捨てたものじゃない
●お話を聞いて、感じた事、気づいたこと
私が留学するとしたら、渡部先生と同じようなことをしたいと考えていたので、先生の体験談を聞いてとても参考になりました。留学で外国の良い所を取り入れるだけではなく、私も日本人として日本の良い所を伝え教えられるよう精進したいと思いました。

インタビューアー:木内 哲也 (東北大学 歯学部 歯学科 1年), 小峰 英也 (東北大学 歯学部 歯学科 1年)