留学のすすめ.jp

Invitation to Study Abroad

Disseminating the Impact of Study Abroad
Inter-generational Knowledge Transfer

インタビュー

日本のおもてなしを外国人旅行者に!!

山内光雅氏

2015年11月4日  53ページビュー

初めての海外“自分を変えたい”

大学への進学を決め、何となく過ぎていく大学生活にそろそろ終止符を打とうと、3年生になる手前の春休みに1か月間のニュージーランド語学留学を決めた。難しい動機などなく、“大学生といえば留学”かな、と思っていた矢先に留学のポスターを見つけたからだった。いざ、ニュージーランドに出発したものの語学学校では日本人のみの教室だった。このままではダメだ思いつつも、皆と共に日本語で過ごしてしまった。3週間ほぼ英語を使わずに、変わりたいと思いはるばる来たものの、何も変えられずに後悔が残った。放課後に現地の学生とビリヤードをしていたそんなある日、英語で「どうしたらそんなに上手くなれる?」と尋ねてみた。彼はキョトンとした顔を向けて来たので、自分の英語が間違っているのかと戸惑った。すると彼は「僕の練習してきた、上達した方法が君にも当てはまるかどうかは分からないだろ」と返した。“自分で考え、自分の力で成長する”ことを教えられた。この時、自分と全く異なる価値観の人と触れ合うことの刺激と面白さと実感した。

孤独を救ったもの:笑顔とひと声

3週間の語学学校生活を終え、最後こそは、と残りの4日間は一人で旅に出た。勇気を出して試みたものの、英語は得意ではなかったためにどこへ行っても疎外感が拭えなかった。そんな気持ちのままある朝、海岸沿いで自分の方向へ歩いてくる老夫婦に声をかけられないように下を見ながら歩いていた。“Good Morning”と声が聞こえたが、一瞬誰に言っているのか分からなかった。それは誰かにではなく、確かに山内さんへの挨拶だった。そして顔を上げてみると、そこには世界一の笑顔があり、雲や霧がパッと消え去るように一気に心が救われた。ただの挨拶、何気ない一言で、「この国にいる自分の存在を認めてくれている、迎えてくれているんだ」と感じられたのだ。

人生は有限である

3年ほど勤めた会社の社長が突然亡くなってしまったこと、自分のやりたい事と徐々に会社の方針がずれてきていたことをきっかけに、会社を辞め、以前からいつかはと念願だった長期留学をすることに決めた。偶然にも、日経新聞を見てみると某リクルート会社が語学研修と給与付きのインターンシップのグローバル人材プログラム参加者を募集していた。英語は大学受験のころから得意ではなく、英語のインタビューではほとんど上手く答えることができなかったが、見事に合格した。まず香港で3か月半語学研修に参加した。日本人だけの授業で、英語能力のレベルで最も下のクラスに振り分けられた。仕事を辞めてまで遂に叶えた長期留学なのだから、と人生で一番勉強に打ち込んだという。土日も学校と図書館の往復がほとんどだった。努力が報われ、TOEICのスコアは465点から730点と全生徒の中で最も伸び、シンガポールでの4か月間のインターンシップでは、希望通りの旅行代理店に決まり、ツアーコーディネーターとして働いた。香港人やスペイン人の親友ができ、様々な現地の人と触れ合えたが、これと言ってやりたいことが見つからなかった。海外に飛び出してみれば何か見つかるだろうと思っていたが、プログラムが終了し、フィリピンでの自費短期留学後に帰国をした。「30歳までには起業したい」と何となく思っていた山内さんは自身の海外体験を振り返り、“自分のできること”と“自分の思い”を掛け合わせた社会貢献をすることに決めた。

Kyoto Free Travel設立

「一人でも多くの訪日外国人の手助けがしたい」、今まで自分が海外で助けてもらったことへの「恩返しがしたい」そんな素直な自分の心に従って1年ほど前から街中でボードを持って始めた、フリーツアーガイドのボランティア活動。会社勤めをしていた山内さんは、サラリーマンを9時から20時、ゲストハウスのスタッフを21時から25時、週末はガイドやイベント、そんな毎日を送っていた時、山内さんに疲労の限界が来てしまった。2014年11月の昼頃、高速道路 の中央分離帯に時速80キロで突っ込んだ。車は全損だったのにも関わらず、奇跡的に無傷。「生きているって素晴しい!」と思うと同時に、そのおかげで“人生の有限性”を改めて感じることができ、「やりたいことやろう」と、2015年4月には働いていた会社を辞め、ボランティアツアーの「Kyoto Free Travel」一本で生活をしていくことを決心した。現在ではシェアハウスのオーナーや英語・フランス語・中国語・韓国語の“語楽”教室の開催、国際交流イベントの企画運営などをされている。

日本人の日常こそが日本の良さ

ツアーを続けていくうちに、「些細なことでも感謝してもらえることが嬉しかった。」ある時は、「花見に混ざりたいけど、外国人だから・・・」と躊躇していた方を誘って、公園で花見をしていた地元の人に混じり、「日本で一番の思い出ができた」と喜んでもらうことができた。日本に暮らす私たちとしては何てことのない“ちょっとしたこと”をするだけで、予想以上に喜んでもらえることや、日本と外国人が繋がってくれることが活動への原動力となっている。

山内さんから学生へ

「はじまりは“テキトー”でもいいんです。」行くと決めて自分の足で実際に行ってみれば何か見つかるかもしれないし、見つからないかもしれない。きっかけは何であれ、行ってからいくらでも努力できる。心に思い描いていたものの、あれができていない、これができていないと浮かんでくるものが誰にでもある。しかし、「できなかったのはやっていないから。」大事なのは“とにかくやってみる”勇気と、やると決めたら努力することだ。インタビュー中「“努力する才能”を持ってほしい」というユニークで重みのある言葉をくれた。幼少期から人見知りで、人前で話すことがとても苦手だった山内さんは自分を変えたいという思いで新卒で入った会社で2年目にプレゼンテーションの担当を自ら名乗り出た。努力ができるというのは一つの才能だと語った。プレゼンテーションの練習を100回程して、本番には毎回成功させた。「100回も練習すれば101回目は何も変わらない」と力強く教えてくれた。一方で、「やって失敗したらやめたらいい」とも述べた。努力をしてみても人間だめなときもある、合う合わない、向き不向きがあるのは当たり前だ。一歩踏み出してみよう、と背中を押してくれたような気持ちになった。山内さんの真面目さと優しさが見えた。

インタビュー実施日:2015/06/09

インタビューアーからのコメント

外国語が得意でない、ハローしか分らない人にだって、誰にだってできてしまう何気ないたった一言の声がけや、さり気ない行いで人の気持ちと更には、その地・国自体の印象をパッと変えてしまうことがあるということを山内さんの体験談から学びました。“(見知らぬ)人との距離を置く”日本人の習慣が最近悪い方向へ進んでいるのではないかな、と私は感じます。必要以上に関わりたくないから、忙しいから、面倒くさいから、恥ずかしいから理由は何にせよ、見て見ぬふりをするのではなく、誰もが潜在的に持っているこのパワーを生かすべきです。小さく見えて、本当はとっても大きなパワーかもしれません。

インタビューアー:今井 瑠美子