インタビュー
留学を通した合理的な研究との出会い
熊谷 英彦氏
2017年10月20日 402ページビュー アメリカ合衆国 その他【インタビューイー】石川県立大学学長 熊谷 英彦さん
Q.熊谷さんが留学先としてアメリカ国立衛生研究所を選ばれた理由は何ですか?
A.私の周りの先生が向こう側と知り合いだったんですよ。その時の私の先生が進めてくれ
て、それでアメリカ国立衛生研究所に行くことになりました。また、アメリカ国立衛星研究所は生理学では世界最高の研究機関なのですよ。それも大きな要因です。
Q.研究におけるアメリカと日本の違いを教えていただけますか?
A.まず、金銭的な面ですかね。アメリカでの生理学系の研究費はアメリカ国立衛星研究所
を通して各機関にわたるようになっているんです;よ。ですから、アメリカ国立衛星研究
所の資金はとても多い。したがって良い物が使えるようになります。
次は、考え方だと思います。向こうは合理的な考え方をしていて研究の進め方も合理的なので、研究が行いやすい環境でした。日本は悪い意味で昔ながらですよね。また、日本人は自己主張が足りないというのも、アメリカとの違いだと思います。
Q.留学先での経験がその後の人生にどのような影響を与えましたか?
A.たくさんあると思います。身近なものでいえば、実験方法とかですかね。あと、ものの
考え方も変わった気がします。
Q.ありがとうございます。そういえば先程からアメリカの手法は合理的だということをおっしゃっていますが、具体的な例を教えていただけますか?
A.う~ん。例えば微生物から酵素を生成するときに、まず微生物の培養をするのですが、アメリカでは培養をするときに大きな設備で一気に進めてしまうんですよ。大きな設備一気に進めるということで、効率が良い。また、日本ではその実験課程をすべて自分でやらなければならないのですが、アメリカでは課程を記したレシピを出せば、テクニシャンがしてくれるので、早く行うことができるということも合理的だと思います。
Q.留学先は英語圏ということで何か意思疎通の面でご苦労されたことはありますか?
A.こちらで英語はある程度勉強して行ったので、研究の面では特に支障はなかったのですが、日常生活では例えばある店の店員との会話で少しうまく行かないということがありました。でも、時間がたつにつれそういうことは少なくなりました。
Q.時間の経過とともに自然に慣れてくるということなのでしょうか?
A.はい。向こうで生活しているといつか慣れると思いますよ。
Q.留学前の準備として何かしておいたほうが良い物がございましたら教えていただけますか?
A.特別な準備は必要ないと思います。私の妻はアメリカ人が喜ぶからと言って着物などを持っていきましたが。基本的に向こうではなんでも売っているので生活で困ることもまずないと思われますし。若いうちはとりあえず、飛び込んでみることも必要だと思います。
Q.なるほど。では、熊谷さんはずばり研究留学をしたほうが良いとお考えですか?
A.もちろん。できるだけ若いうちに外に出るべきだと思います。日本という国は島国で回りが海に囲まれているのである程度安全で生活しやすい環境が整っていますが、まずそういった環境から出て海外で刺激を受けるべきでしょう。別に留学じゃなくてもまずは旅行で行ってもいいし、短期で行ってもいい。とにかく、まず外へ出ることが大切だとおもいます。それで、外で経験したことを日本に帰って還元していくといいですね。
Q.ありがとうございました。
Q.熊谷さんが研究者になることの決意をしたきっかけなどありますか?
A.中学生のころから化学が面白いなというふうに思っていました。大学卒業後は会社に就職しようと思っていたのですが、ちょうどその時病気が発覚して断念しました。なので、そのまま博士課程に進んだのがきっかけですかね。
Q.最後の大学生へのメッセージをお願いできますか?
A.若いうちは失敗を恐れずに、好きなことに挑戦することです。まず、自分の好きなことを見つける。その後はただそれを突き進めていけばいいと思います。
Q.ありがとうございました。
インタビューアーからのコメント
インタビューアー:平田智也(東北大学理学部化学科1年)