インタビュー
海外経験を活かした「スーパーバイザー」としての「トータルマネジメント」
瀬谷 一茂氏
2017年1月31日 164ページビュー アメリカ合衆国[インタビューゲスト] 瀬谷 一茂 さん(信越半導体株式会社 品質保証部ウェーハ検査課 スーパーバイザー)
信越半導体株式会社の品質保証部ウェーハ検査課のスーパーバイザーを務め、現在多くの部下を指揮する瀬谷一茂さんに海外経験から今につながっていることについてのお話を伺いました。
(瀬谷)-入社二年目にして、アメリカへ行き日本人とアメリカ人の仕事への価値観の違い、文化の違いを感じたということですが何があったのでしょうか?
入社二年目、初の海外出張でした。当時はまだアオで仕事のことより、楽しみのほうがウェイトを占めていました。(笑)
目的はマシンの立ち上げ、オペレーションの指導と限られた期間で海外工場を支援する大きなプロジェクトでした。言葉の壁はもちろん、食事や文化の違いに戸惑う日々で計画通りに仕事が進まず、煮詰まる日々でした。ただ、若気のいたり、生意気さがりもあり、プライドだけは強かったかな。技術は負けない、自分の考えは曲げない、アメリカ人に何ができるという考えがありました。
事件がありました。マシンのパーツ調節を現地エンジニアと共に教育する時間がありました。日本の装置は細部であり、精密なので数ミリ単位の精度を要求されます。しかし、アメリカ人に教えるにも言葉が通じず、体の大きいアメリカ人にとって日本の細かい装置を扱うのは難しく、調整に何時間もかかってしまいました。すると、契約社会のアメリカは契約時間を理由に仕事を止め、帰ってしまいました。日本であれば最後まで責任を持ち、残業をしてまでもやり続けます。それは日本人の美化文化です。しかし、グローバルな世界は日本では当たり前のことが非常識になることもあるのです。そのとき私は仕事への価値観と文化の違いを強く感じ、日本の常識は世界では通用しないことがあるということも同時に強く感じました。だからこそ、コミュニケーションをとることはとても大切なことなのだと感じましたね。
(瀬谷)-では、その時の経験がどのように「トータルマネジメント」にいきていますか?
日本人の謙虚さ、そして真面目さは世界が認めるところです。しかし、自己主張の強い国では“やって見せて認めさせる”、つまりスキルの高さがなければ通用しない世界です。
マネジメントは成果を上げることが重要です。人材は財産です。海外で働いてみて、「日本とは違う、いろいろな考えを持った人がいるのだ。」と気づくことができました。そこから、日本人でもアメリカ人でも関係なく、人は十人十色でいろいろな価値観などを持った人がいるのは当たり前なのだから、価値観や固定観念が違ってもそれを拒否するのではなく、それを広い視野でみて、考え、ではそこから自分は何を学び、活かすことができるのを考えることも必要なのだと思いました。一方的な指示ではなく、いかに理解させ、スキルを最大限にフル活用させてあげるかが海外で学んだことであり、今スーパーバイザーとして人材を育てる私に活きています。
インタビューアーからのコメント
🌟Key words
・日本の常識は世界では通用しないことがある
・“やって見せて認めさせる”
🌟インタビューを行ってそこから感じた事、学んだこと
今回インタビューを行ってみて、やはり一歩踏み出して世界に出てみると異文化を感じる場面は多々あるのだなと思いました。私も固定観念に縛られることがあります。ですが、世界には様々な考えの人がいて、もちろん感じることも思うことも違います。これからのグローバル世界を生きる私たちにとって、広い視野で世界を見て、感じ、そこから新たなことを学び活かしていくことはとても大切なことであり、日本を担っていく私たちに求められていることなのだと思いました。
インタビューアー:瀬谷 茉由佳(東洋大学1年)