留学のすすめ.jp

Invitation to Study Abroad

Disseminating the Impact of Study Abroad
Inter-generational Knowledge Transfer

インタビュー

負けず嫌いな私の、チャレンジングな留学

KLMオランダ航空 客室乗務員 岡本あやの氏

2016年9月8日  730ページビュー
アメリカ合衆国   大学  

はじめに

海外の大学でツーリズムを学びたい。この漠然とした思いを抱え、私はここ半年ほどを過ごしてきた。インターネットで色々なページを閲覧し観光に関する様々な文献を読んだが、どうも具体的なイメージが沸かない。それならば、実際にアメリカの大学でツーリズムを学んだ方に聞いてみればよいのではないか。こう考えて、『留学のすすめ.jp』を通して岡本あやのさんに連絡を取り、インタビューを快諾いただいた。岡本さんの留学経験は以下の通りである。
 
[岡本あやのさんの留学]
愛知県立大学を1年間休学し、日本の大学では学ぶ機会の少ないツーリズムを学ぶためにカリフォルニア州立大学ノースリッジ校(CSUN)に留学。1学期目は語学コース「Intensive English Program (IEP)」に16週間通い英語力を強化した。2学期目はIEPが提供する「Semester at CSUN」というプログラムを利用し正式に大学の授業を履修。ツーリズムを中心に5科目を履修した。また、日本語の授業でTAを務めるほか、現地のホテルでインターンシップを経験した。

海外の大学で学ぶツーリズム

岡本さんは、CSUNで観光マネジメント・観光マーケティング・カリフォルニア州での観光の歴史などの授業を履修し、自分が良いと思うサービスや広告についてプレゼンや文献調査のレポートなどを多く行ったそうだ。「プレゼンは本当に辛かった。初回のプレゼンでは英語が上手く話せないため何を言っているのか理解されず、聞いている学生からは冷ややかな視線を浴びせられた。」という。しかし、次のプレゼンの際には入念に準備をし、アメリカ人に馴染みのない題材を扱うことで他の学生に驚きを与えることに成功したそうだ。また、日本の大学では教授が長時間話して最後に質疑応答の時間がある(そして質問はほとんど出ない)のが一般的だが、アメリカでは教授が講義をしている最中でも、教授と学生で質疑応答が始まり、その質疑からさらに新しい議論に発展することもあったという。次から次へと交わされる質疑応答に参加するのは大変だったと、岡本さんは振り返った。
また、現地のホテルでのインターンシップにも参加し、フロント業務や宿泊アレンジ、道の案内を経験したそうだ。実際にスタッフとして働くというより、他のスタッフの様子を見て学んでいたという。「思い出に残っているのはリンゴ磨きの経験。フロントで無料配布するリンゴを磨いてきれいにする仕事を担当したことがあって、単純作業だけど手を抜かず精一杯磨いておいたら、あるお客様がリンゴのきれいさを褒めていた、と他のスタッフから聞いたの。自分の努力がお客様の幸せにつながったと思うと嬉しかった。」と笑顔で語ってくれた。
 以上のような話を聞き、アメリカではツーリズムを学ぶ環境が充実していると感じた。授業ではプレゼンや議論を通して、理論的にツーリズムを学ぶ。そして、教室での学びをインターンシップを通して実践する。このように理論と実践を往復することで深い学びが得られるのだろう。将来観光産業に従事したい私にとって、この充実した環境は魅力的だ。 
ただし重要なのは周囲の環境だけではなく、あくまで自分自身だろう。アメリカの授業は日本の授業より厳しいという噂は聞いていたが、実際に現地の授業を受けたことのある経験者の話を聞くと非常にリアルに感じられた。この厳しい環境の中でいかに必死に学ぶかが求められそうだ。

留学先での生活

留学先でどのような生活を送ればいいのか。留学前の多くの人が不安に思っているだろう2点、友人をどう作るか、留学中はどのような心構えでいればよいのか、について岡本さんに質問した。
 
<友だちの作り方>
留学先の大学には日本人が多くいたが、岡本さんは日本人とはあまり関わらず、現地の学生のコミュニティに積極的に参加するようにしていたという。「パーティーに誘われたら必ず行くようにしていたよ。体調不良とかじゃない限り。」語学学校に通っていた時、岡本さんはしばしば同じ寮のアメリカ人学生からパーティーに誘われた。決まったメンバーしか集まらない日本のパーティーとは異なり、アメリカのパーティーには様々な人が集まるそうだ。そして、パーティーで友達にそのまた友達を紹介してもらう、というようにして交友関係が広まっていったという。また、「(留学先に)日本語の授業があるならTAをしてみるといいよ」というアドバイスを頂いた。日本語の授業には、当然ながら日本や日本語に興味のある学生が集まる。そこにTAとして参加することで多くの友達を作ることができるだろう、とおっしゃっていた。
 
<留学中の心構え>
「言いたいことはハッキリ言うこと。」岡本さんは、これが重要であると指摘する。日本人と違い、アメリカ人は相手の言葉や態度から気持ちを察することをしないという。言いたいことはしつこいくらい言わないと伝わらないそうだ。 
また、「留学中は常に何かしらのトラブルが発生するものよ」と、岡本さん。例えば、申請したはずの寮の部屋が確保されていなかったり、登録したはずの授業が履修できなかったりしたという。このようなトラブルが起こることを想定して、慌てず対処できるようにしておくことが必要だと教えて頂いた。

留学を通して得たこと

留学は「自分のことは自力でこなす」という姿勢を身に付ける第一歩になったという。それまでの生活では親に依存していた面があったが、留学中は文化の違いやトラブルに自分の力で対処しなければならなかったそうだ。
また岡本さんは、留学を通して様々なことにチャレンジができたと振り返る。アメリカには「やりたい」と言えば周囲の人がサポートしてくれる環境がある。ただし、「やりたい」と意思表示をして、チャレンジするきっかけを手に入れることができるかどうかは、自分次第だと話してくれた。
 私はこれまで、何かにチャレンジすることが少なかったと感じている。チャレンジする機会は何回もあったのに、失敗を恐れ挑戦することをためらってきた。アメリカの人々はチャレンジを推奨し懸命に頑張る人を応援してくれる人が多いとのこと。このような環境の中で、自分を少しでも成長させることができるように、留学したら様々なことに積極的にチャレンジしてみたいと思う。

インタビュー実施日:2016/06/18

インタビューアーからのコメント

今回のインタビューを通して、私は留学中の勉強や生活について具体的なイメージを持つことができ、非常にワクワクしてきた。特に印象的だったのは、「負けず嫌い」を自負する岡本さんの強いメンタルとチャレンジングな姿勢だ。授業では初回の失敗を取り戻そうと工夫を凝らしたプレゼンを行い、自ら希望して現地のホテルでのインターンシップにも参加された。多くの留学生が自分と同じ出身地のコミュニティに閉じこもりがちなのとは対照的に、進んで現地学生のコミュニティに入っていこうとする姿勢にも驚いた。留学を実りあるものとするためには、勇気を持って行動することが重要だと知った。
 翻って、私には岡本さんのような強いメンタルやチャレンジングな姿勢を発揮できるだろうか。慣れない異国の地で独りぼっち、という環境は想像以上に過酷だろう。岡本さんは教室ではたった一人の日本人だったと言う。そのような孤独な状況では、打たれ強い精神や積極的に物事に取り組む姿勢を維持するのは難しいかもしれない。しかし、困難な状況でもいかに積極的に行動できるかが自身の成長につながるのではないか。笑顔で自身の留学経験を語る岡本さんの姿がこれを証明している。このことを心に刻んで、留学に臨みたい。

インタビューアー:伊澤一陽(一橋大学社会学部3年)
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京都大学 大学院総合生存学館(思修館)准教授
関山 健 氏
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